筆者とSurfaceの付き合いは、Microsoftが2012年10月26日に「Windows 8」と「Surface RT」をリリースした時期にさかのぼる。前日の10月25日には米ニューヨークで報道関係者やパートナー向けのお披露目イベントが開催され、その夜から日付が変わるまでの間に、米ニューヨーク市中心部のタイムズスクエアを“ジャック”してのローンチイベントが大々的に行われ、新製品の数々がお披露目されている。
ニューヨークの現地に飛んでイベントの模様をレポートしたり、Surface RTの最速ファーストインプレッションをお届けしたり、Surface RTを実際に購入して欧州で現地取材しながら移動中にレビューを行ったりもした。
そんな今は昔の話だが、思えば「Windowsをタッチインタフェース対応にするためのリーディングデザイン」をアピールすべく、MicrosoftがPCハードウェア事業に本格参入し、タブレット製品から始まったSurfaceも、現在では「クラムシェル型のノートPC」「オールインワン型のデスクトップPC」「据え置き型の大画面PCボード」とラインアップを拡充し、最近では「Surface Dial」のような周辺機器や「Surface Headphones」のようなヘッドフォンデバイスまで、「Surfaceブランド」の域は拡大しつつある。
そんなMicrosoftのデバイス事業を率いるのは、2018年3月の組織改編で同部門のトップとなったパノス・パネイ氏だ。元々、Surface開発チームを一手に引き受けていた同氏だが、日本での「Surface Hub 2S」の予約受付開始と9月からの販売スタート発表を機に来日し、同社が考える「Surfaceブランド」の意義と「日本におけるSurface」について説明した。
かつて日本企業に勤めていて日本での滞在経験もあるパネイ氏が、「好きなものは“焼き鳥”。日本での食事を楽しみにしているが、なかなか時間が取れない」という過密スケジュールの中で、今回の滞在でも日本の顧客企業らを回ってさまざまなヒアリングを続けている。
それは顧客の要望を聞き、製品開発にフィードバックするためだ。パネイ氏によれば、同氏が市場としての日本を重視する理由は主に2つある。1つは日本におけるSurfaceビジネスが非常に堅調なこと、そしてもう1つが「製品のビジネス場面での活用」だ。
例えば前者について、Microsoftの会計年度で2019年度第3四半期(2019年1〜3月期)でSurfaceビジネスの売上は前年同期比21ポイントの伸びだった。
一方で日本におけるSurfaceは前年同期比で50ポイント以上の伸びであり、2019年はさらに上昇が見込まれると同氏は付け加える。本国を除けば実質的に日本が世界のSurfaceビジネスをリードしている状態ともいえ、重点市場であると同時に、それだけ顧客からの意見も重視しなければならないことも意味している。
エンタープライズ分野での導入も大きく、三井不動産リアルティでは数千台単位でのSurfaceデバイス導入が進んでいるという。日本での食事も興味があるが、それ以上に顧客の声を吸い上げるのが今回の来日の大きな目的というわけだ。
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