Microsoftは、NFC(Near Field Communication)による「タップ&ペイ」のモバイル決済機能をWindows 10 Mobileに搭載すべく、準備を進めている。その実装方法については、以前にレポートした通りだ。
同社は2016年夏以降にリリース予定の次期Windows 10大型アップデート「Anniversary Update(開発コード名はRedstone 1)」において、新しい「Microsoft Wallet 2.0」アプリとともに決済サービスを提供する可能性がある。
新機能の追加が目立ち、話題も豊富なWindows 10デスクトップ版の開発プレビュー(Insider Preview)に比べ、Windows 10 MobileのInsider Previewは陰に隠れがちだ。しかし、米Windows Centralが6月11日に報じた内容は興味深い。
同誌が入手した内部ビルド版(まだ一般のInsider Program参加者に配布される前のバージョン)のWindows 10 Mobileでは、新しいウォレットアプリのWallet 2.0が加わり、実際に米国で発行される「Bank of America」のデビットカードを登録して決済に成功したという。
テストに使用したスマートフォンは「Lumia 950」で、これにAnniversary Updateに相当するInsider Previewの最新ビルドを導入した状態でWallet 2.0アプリをインストールし、セットアップを行ったようだ。
Wallet 2.0アプリにはクレジット/デビットカードまたはロイヤリティーカード(ポイントカードや会員証のようなもの)を登録可能で、クレジットカードは手入力またはカメラ撮影で情報を登録できるという。登録後に認証コードが携帯電話にSMSで送信され、これを入力することでアクティベーションが行える。
カードを登録すると、別途銀行(この場合はBank of America)の口座にひも付けられているメールアドレスに「(モバイルウォレットに)カードが追加された」旨の通知が行われ、これが二重チェックとなり登録が完了する。
なお、一連の手順はApple PayやAndroid Payを登録した場合とほぼ同じだ。銀行側の仕組みとしては同じものを利用しているとみられる。
ロイヤリティーカードの登録は、あらかじめリストで提示されたものからカードを選び、そこに情報(カード番号など)を登録すればよい。登録可能なロイヤリティーカードの一覧はWindows Centralの記事中で紹介されているが、その一覧にある企業群が米国中心のものであり、当初は米国内でのみMicrosoft Walletのサービスが開始される可能性が高そうだ。
クレジットカードを登録したWindows 10 Mobile搭載スマホは、そのままNFC決済に対応したショップの店頭でタップ&ペイによる決済が可能だ。実際に当該記事の筆者はお約束のMcDonald'sで「クォーターパウンダー・チーズ」の購入に成功している。
ただ、手順としてはリーダーにiPhoneをかざしてTouch IDに指を置いておくだけというApple Payとは異なり、一度Windows 10 Mobileのスクリーンロックを解除しておく必要があるようだ。もしWindows 10標準の生体認証機能「Windows Hello」が設定してある場合には、あらかじめ認証を済ませてロックを解除しておかなければならない。
この辺りはタップ&ペイで事前にスクリーンロック解除が必要なAndroid Payに近く、仕様上の制限だと考えられる。
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