9月29日(米国時間)、Windows 10のAnniversary Update(1607)向けに累積的アップデート(Cumulative Update)の配信が始まったが、ユーザーからトラブルの報告が相次いでいる。
問題となっている累積的アップデートは「KB3194496」だ。これを8月2日に一般公開されたWindows 10の大型アップデートであるAnniversary Updateに適用することで、バージョンは「Build 14393.222」となる。
基本的には恒例のバグ修正やパフォーマンス向上を中心としたアップデートだが、公開直後から前述のクレームがTwitterなどのソーシャルネットやユーザーフォーラムで拡散し始め、Microsoftのコミュニティーサイト上にも専用のスレッドが登場して数多くの書き込みが行われている。
KB3194496については、下記のような症例が報告されている。
どの症例もKB3194496がインストールできないか、仮にインストールできてもすぐにシステムがダウンしてしまうなどの障害が出るケースがあるようだ。以前のバージョンへと戻すか、KB3194496を削除することで問題が解決するという。
ただし、この症状が出るのは全てのユーザーではない。問題なくインストールが完了してそのまま利用できているユーザーも多く、一部での障害とみられる。Microsoft社員によるユーザーコミュニティーへの投稿によれば、同社は既に事態を把握しており、詳細が判明次第、情報共有していくとのことだ。
KB3194496が問題を起こすケースでは、インストールできたとしてもトラブルが継続する可能性が高い。当面の対策として、Microsoftがこの問題を解決するまで、アップデートのインストールは避けた方がよいだろう。
Windows 10 Homeの場合は基本的にアップデートそのものを防げないため、再起動のタイミングを先延ばしする設定で時間を稼ぐくらいしかできない。問題の発生状況からみて、Microsoftは数日中に何らかのアクションを起こすだろう。
今回の件に関して、米ZDNetのメアリー・ジョー・フォリー氏がアップデートの提供タイミングに関して苦言を呈している。
Windows Insider ProgramのFast Ringユーザー向けには9月28日の時点で既に「Build 14936」が提供されているが、残るInsiderのSlow RingとRelease Previewについては同日のタイミングでKB3194496を適用するBuild 14393.222が配信された。つまり、実質的にKB3194496の一般ユーザー向け配信とは1日しか差がない。
Microsoft社内向けの配信より更新ペースが早いFast Ringを除けば、Slow RingやRelase Previewは本来Insiderとして「人柱」的役割を担うべきものだ。しかし、今回は一般ユーザー向けの配信と1日しか差がなかったため、テストが十分に行われなかったのではないか、というのが話の趣旨だ。
確かに、少なくとも数日程度でも余裕を持ってInsider内部でアップデートの適用範囲を広げていれば、一般ユーザー向けの公開前に問題を把握できた可能性がある。
そもそも累積的アップデートの定期的な適用、特にWindows 10 Homeユーザーのアップデートをほぼ強制状態にしているのはセキュリティ対策のためだ。これが逆にユーザーに不安を与えるようでは本末転倒であり、Microsoftの早急な対応を望みたい。
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