【渋谷でオフィス移転を行うケース】
◆新しいオフィスの条件・・・渋谷徒歩10分、従業員50人、100坪
合計:4450万円〜
―― こ、これは大きな額ですね。郊外なら良いマンションが1室買えてしまいます。
田久保氏 トータルすると大きな額になるので、スタートアップやベンチャー企業では、資金調達後に移転をするケースが多いです。ベンチャーキャピタルなどから資金調達し、手元の資金を厚くしてから引っ越すパターンですね。
高井氏 居抜き物件だと、入居者と退去者、ビルオーナー三者の調整項目をすり合わせるために、通常移転の2〜3倍の労力が必要です。
―― 通常の2〜3倍の労力……そんなに手間のかかるものだったのですね。さっきから気になっていたのですが、調整項目ってどういうものがあるんですか?
高井氏 調整項目の例を挙げると、オフィスに資料を置く「キャビネット」とかありますよね? 地震時にはオフィスの家具も転倒する場合がありますから、このキャビネットも「転倒防止対策がされているのか?」を確認したり、床や壁が壊れたときに「誰が責任持つのか?」など話し合ったりして、全ての責任所在を明らかにするんです。
―― ええっ、転倒防止対策ですか? あまりにも細かすぎませんか?
高井氏 空調のメンテナンスを入れるか入れないか決めたり、やるとしたらそのメンテナンス代を誰が持つかまで取り仕切らないといけないので、退去者と入居者、オーナーの三者間でかなり調整ごとが多いんです。
―― そうでした、空調機にもお金がかかりますね……。
高井氏 入居者と退去者同士でも調整が多いですし、今までは、前述した面倒なことを喜んでやってくれるビルオーナーさんも少ない現状がありました。そもそも、居抜きで入ってくれる入居者を募集することが少なかったんです。
―― え? でも、居抜き物件の契約って増えているんですよね?
高井氏 IT企業を中心に居抜き物件希望者が増えた結果、そのニーズを理解したビルオーナーさんたちが徐々に協力してくれるようになってきたんです。
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