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居抜き物件専門「スイッチオフィス」でオフィス移転はどう変わる?オフィス移転もWebマッチング(3/3 ページ)

» 2016年03月07日 06時00分 公開
[鈴木美雪ITmedia]
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IT企業同士で居抜き物件のマッチング率が高い理由とは?

―― なぜ、居抜き物件希望者にIT企業が多いのでしょうか? IT企業同士に何か共通点でもあるのでしょうか?

高井氏 IT企業ってオフィスの形態が似ているんですよ。フラットな社風が多いから、「役員室は要らないです」とおっしゃる企業の担当者も多いです。あと、退去者が無線LANルーターを置いていくのであれば、入居者もそれを引き継いで使うことができます。デスクや椅子も廃棄代をかけず、入居者に引き継ぐことで家具代の削減にもなります。

―― なるほど。

オフィス 移転 ヒトカラメディア 高井氏「空き室は最大のリスク」

高井氏 サーバルームの用意があるのもIT企業独特の形態ですね。本当、レイアウトや物件要件が近いんですよ。オフィスへの愛がある企業も多いので「せっかくこだわったオフィスだから、内装ごと誰かに引き継いでもらいたい」と思う退去者もいます。調整の手間を理由に企業が居抜きでの退去・入居をやめてしまうのは本当にもったいないんです。

田久保氏 今まで、どこにどんな居抜き物件があるのか分かりませんでした。スイッチオフィスはプラットフォームの中から物件を選ぶことができるので、ユーザーさんは通常の物件探しと同じように居抜き物件を見ることができます。ビルオーナーさんと交渉中で未掲載の物件もありますが、これからもっと増やしていきたいと考えています。

オフィス 移転 ヒトカラメディア 田久保氏「スイッチオフィスではユーザーのために安心できる仕組みを整えていきます」

田久保氏 IT企業を中心に居抜き物件のニーズが増えた結果、私たちも「無駄なことが多い」「居抜き物件の受け渡しは面倒」という意識を変革する必要があると思いました。当然、新しい入居者が見つかればオーナーさんの実績にもなります。まずは入居者と退去者、ビルオーナーさんの三者の信頼関係をそれぞれ築くことをサポートしながら「居抜き移転を当たり前の選択肢にしよう」という意識でやっています。

高井氏 私たちが居抜き物件のWebマッチングにかけているのは、本来ならば居抜き物件はビルオーナーさんにとってポジティブなことが多いから。物件を所有している側にとって一番避けたいことは「空き室」となってしまうこと。新しい入居者が現れないとオーナーも不安です。退去者と入居者同士もしっかり話し合って、確約してくれればウエルカムなオーナーさんも増えてきていますよ。

―― なるほど。本日は取材にお応えいただき、ありがとうございました。

物件マッチングで起業家希望者の支援も

 聞いたところ、ヒトカラメディアは単なるオフィス移転にとどまらない、起業希望者支援にも乗り出しているという。Skyland Ventures(スカイランドベンチャーズ)が運営する起業家向けコワーキングスペース「#Hive Shibuya」と提携し、起業希望者が物件を探す際にもサポートできるよう連携を強化した。

 2014年に出された中小企業庁の「中小企業白書」(平成26年度版)によると、「起業を希望する者である起業希望者は、1997年以降、減少傾向にある」と述べられている。年々、日本では起業希望者が減ってきているのだ。

 同資料では起業希望者が減少した原因として「起業希望者が起業家になりやすい環境を整備できていない」としている。起業にはオフィス、人材、金銭など、多くの用意が必要だ。オフィスの用意や費用の問題に直面するとどうしても起業希望者がひいてしまう現状があるのではないだろうか。

 今後、スイッチオフィスのようなWebマッチングサービスが普及することで、オフィス移転のハードルを下げることができれば、起業希望者にとっても大きな支えとなるかもしれない。

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