MicrosoftがiOS版アプリ「Cortana」(コルタナ)を日本のApp Storeで公開しました。
コルタナはWindows 10の音声パーソナルアシスタント。Siriと同じく、音声検索から雑談まで、多様なパターンの音声を認識します。ただしWindows 10版のように、「コルタナさん」と呼びかけて起動する機能は現時点でサポートしていません。
アプリを利用するにはMicrosoftアカウントが必要です。Windows PCをメインで使うiPhoneユーザーにとっては、Windows 10のカレンダーアプリで登録した予定を通知させるなど、シームレスな連係ができるようになります。
さっそくアプリを使ってみると、起動時の画面には、天気や話題のニュースなどが表示されました。ほかにも株価の表示やリマインダー機能などがありますが、正直なところ既存のアプリで代替可能な機能です。普段Microsoftアカウントを使わないMacユーザーであれば、アプリの恩恵はほとんどない気がします。
それよりも試すべきは音声アシスタントのコルタナさんです。音声の聞き取り精度は高く、10回中9回は正確に音を捉える印象。声はSiriさんよりもより人間らしいなめらかなしゃべりです。
しかも雑談力がなかなか優秀! 「今日のトリビア」と話せばちょっとしたネタを教えてくれますし、「じゃんけん」や「動物の鳴き声」は画像付きで答えてくれます。今回は定番の告白ネタから無茶振りまで一通り投げてみました。
またSiriについてたずねたところ、「もちろん好きです。Siriは数少ない私のバーチャルな同僚ですから」「皆さんの生活を少し楽にしようと頑張っているのですから、カッコイイと思います」などとべた褒め。先輩を持ち上げる太鼓持ち 優秀な後輩のようなセリフです。
一方、ラブコールを受けたSiriにコルタナさんについて質問すると、「すみませんが、それにはお答えできません」とバッサリ。ツンデレのSiriらしい答えでした。
一通りコルタナで遊べば、Microsoftが彼女をより人間らしいキャラクターに育てようとする意図を誰もが感じると思います。コルタナは会話の端々に「人間だったらやってみたいことは沢山あります」「私も人間らしさを勉強しますので」と“人間になる”ことを意識していますし、Siriと違って方言を話せることも人間的要素です。
制作側にもその意図ははっきりと現れています。マイクロソフトWindows公式ブログでは、コルタナのアップデート情報を「成長の足跡」と表現しており、「みなさまに利用いただければいただけるほど、フィードバックが集まれば集まるほどCortanaは成長していきます。一緒にCortanaを育てていきましょう」と我が子のような扱いです。
Microsoftが開発する人格を持つ人工知能キャラクターといえば、女子高生AIの「りんな」や、中国で提供される「シャオアイス」が有名です。二者のエモーショナルな表現をコルタナが身につければ、音声アシスタントの枠を超える存在になるかもしれません。
それどころか、「her/世界でひとつの彼女」で主人公がOSのサマンサに恋したように、コルタナさんを愛する人が出てくるかもしれませんね。
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