Windows 10公開から1年後の姿はどうなる?Build 2016(2/3 ページ)

» 2016年04月02日 06時00分 公開
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少しずつ前進しているUWPアプリ環境

 この他の機能拡張ポイントとしては、Xbox OneへのWindows 10アップデートでUWPアプリを本格活用する環境が整いつつあること、音声対応パーソナルアシスタント「Cortana」の機能が強化されて連携可能なアプリが増えたほか、スクリーンロック中でもバックグラウンド動作が可能な仕組みの提供など、やはり使い勝手が向上している。

 これら新機能の数々は、UWP向けに提供されるAPIで実現可能となっているため、実質的にユーザーや開発者を従来のアプリ開発環境からUWPへと誘導する狙いがあると考えられる。アプリストアの拡充はまだ途上にあるが、一方でSkypeやFacebookのアプリなどがUWP対応を表明しており、既存のストアアプリも機能強化が少しずつ進むなど、徐々にだが改善しつつある。

UWP FacebookやInstagramのUWP版アプリが間もなく登場。Skype for UWPも間もなく
Anniversary SDK Preview Anniversary Updateで追加される新機能を含んだSDKと、Visual Studio Update 2が提供される

「bash」がWindows 10の標準装備に

 UWP以外の話題では、なんと「bash」がAnniversary Updateで標準機能として追加されることが発表された。UNIX系ではおなじみのシェルであり、実際に便利なシェルスクリプトを組んだり、オープンソース系ソフトウェア(OSS)の開発で活用している例も多いだろう。

 OSSの世界では、LinuxやBSDを導入したWindowsマシンよりもOS Xで動くMacを活用する例が多いが、各種ツールのほか、OS Xの標準シェルであるbashの存在を少なからず選択の理由にしている人もいるだろう。その意味では、Microsoftが「OS Xを使うOSS開発者」をWindows 10で獲りに来ている可能性も少なからずあるのだろうか。

bash対応(1) なんと「bash」がWindows 10の標準装備になる
bash対応(2) bashの対応は、とても2016年の最新OSに搭載される新機能とは思えないが、bashを中心としたUNIX機能活用のためにOS Xを利用しているユーザーは少なくない。オープンソース開発者を中心にWindows 10への取り込みを図っているのかもしれない

Windows Bridgeを受け継ぐ「Desktop App Converter」

 Build 2016では、UWPの可能性を切り開く3つの施策が発表された。

 1つ目は「Desktop App Converter」だが、この説明をするには前回のBuild 2015までさかのぼる必要がある。MicrosoftはBuild 2015で「Windows Bridge」を大々的に発表した。これは、他のプラットフォーム向けにアプリを開発するデベロッパーらを、UWP(Windows 10)の世界へと誘導するための施策だ。

 ただし、既報のように、Windows Bridgeの試みは事実上頓挫し、2016年は既に「Bridge」と呼ばれる単語をセッションでも見つけることはできない。

 4種類あるWindows Bridgeのうち、一般提供が開始された「Windows Bridge for Web apps(Project Westminster)」を除けば、「Windows Bridge for Android(Project Astoria)」は中止が発表され、「Windows Bridge for iOS(Project Islandwood)」はオープンソース化で事実上Microsoftのメインプロジェクトから外れている。

 今回のBuild 2016では、残る「Windows Bridge for Classic Windows apps(Project Centennial)」のみがDesktop App Converterに名称を変え、未提供だったWindows Bridgeとしては唯一生き残った形だ。

Desktop App Converter 「Project Centennial」は「Windows Bridge for Classic Windows apps」という名称を経て「Windows Bridge」の冠が外れ、最終的に「Desktop App Converter」の名前で間もなくβ提供が開始される見込みだ

 その詳細は後日フォローする予定だが、Desktop App ConverterはWin32/.NETをベースに開発されたアプリケーションの「.msi」ファイルを「.appx」形式のファイルに自動コンバートするツールだ。

 「.appx」形式に変換することにより、Windowsストアでのアプリ配布やUWPのアプリで求められる「管理機能下での動作」が可能になるが、一方で内部的にはWin32/.NETコードを内包してUWPとは別のプロセスとして動作しているため、実行にあたっては「Win32サブシステム」が要求される。

 つまり厳密にはUWPではないため、Windows 10 MobileやXbox Oneなどの環境ではDesktop App Converterを通じて変換されたアプリは動作しない。将来的なUWP移行を見込んでの中間的なソリューションであり、徐々にWin32の依存を減らしていくのがMicrosoftの希望とみられる。

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