次にあるのがアプリケーションの問題だ。基本的には現状で最新版や互換性情報が提供されているようなアプリケーションであれば、何らかの対応手段が用意されている。
ただし、アップデートの止まってしまったような古いアプリケーション、現時点で「Windows 10対応が検証できていない」というアプリケーションもある。古いアプリケーションの中には、アプリケーションのアイコンを選択して右クリックメニューで表示されるダイアログの「互換性タブ」にある「互換モード」の項目で調整可能なものもみられる(高DPI設定の問題など)が、そうでないものも多く存在する。
恐らく既にアップデートの止まっているような古いアプリケーションがWindows 10で動作しないという報告があった場合、これを最新OSで動かすことは難しいだろう。特に古くから使い続けてきたフリーソフトなどは注意が必要だ。もし、どうしても旧アプリケーションを生かしたいと考えているならば、「特定のアプリケーションを捨てる(代替できるものを探す)」か「旧OSのまま使い続ける」かの2択になる。
OSの標準アプリケーションに関しても、Windows 7/8.1とWindows 10で変更があるので注意したい。1番大きな問題は、Windows 10でマルチメディア統合ソフトウェア「Windows Media Center」が廃止されたことだろう。恐らく特許絡みの問題だと思われるが、Windows 8.1以前のマシンでWindows Media Centerを使っていたユーザーは、Windows 10以降に同アプリケーションを利用しての「DVD再生」が行えなくなる。
Microsoftは、期間限定でWindows 10対応の「Windows DVDプレーヤー」というアプリケーションを無料配布していたが、Windows Media Centerに比べて機能が限られているほか、不具合が多いなど、評価があまり芳しくない。Windows 10でDVDを再生したい場合、Windowsストアで有償のDVDプレーヤーアプリや、「VLC for Windows Store」のような無料のメディアプレーヤーアプリを探して導入するとよいだろう。
なお、Windows 10の公開からしばらくは銀行のWebサイトなどで「Windows 10対応は検証中」といった表記も見られたが、現在では「Windows 10+Internet Explorer 11(IE11)」の組み合わせであれば、問題ないケースがほとんどだ。
同様に、Windows 10標準ブラウザのEdgeで都合の悪いWebサイトやサービスであっても、IE11(あるいはChromeやFirefoxなど他社のブラウザ)を利用することでほとんど回避できるため、特殊な環境を除けば、Webアクセス関連で気にすることはほぼないと言える。
もう1つ、Windows 10に移行して問題となりがちなのがWindows Updateだ。Windows 10 Homeの場合、Windows Updateは完全に自動化されて手動更新が行えなくなる。ユーザーはWindows Update後の再起動日時を手動設定して、不意の再起動を防ぐくらいしか対策がない。Windows 10 Proであれば、Windows Updateでセキュリティ以外のアップデートを数カ月遅らせることができるが、こちらも完全な手動設定はできなくなっている。
常にWindows 10が最新状態で保たれるというメリットがある一方、アップデートのタイミングや、そもそも特定のアップデートをするかしないかを選択できないのは困るといったユーザーも少なくないだろう(まれにWindows Update自体に不具合があり、トラブルを引き起こすことだってある)。ここはMicrosoftを信じて、自動更新を受け入れるしかない。
そのほか、特にMicrosoftアカウントでWindows 10にサインインして利用すると、Microsoftの各種クラウドサービスと自動的に連係でき、利用履歴からCortanaがよりユーザーに最適化された応答をしてくれるようになる半面、さまざまな個人情報をMicrosoftに提供することとなる(Microsoftのプライバシーに関する声明)。
Microsoftによれば、個人情報の収集はユーザー体験の向上やパーソナル化のためであり、安全性は保たれているとのことだが、プライバシーに敏感なユーザーはローカルアカウントを使うことでMicrosoftに提供する個人情報をある程度抑えられる。Windows 10導入後はプライバシーの設定を確認しておきたい。
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