ゲーミングノートPCというと、ノートとは名ばかりで、携帯性をほとんど無視してパフォーマンス最優先に設計されているものが多く、省スペースなデスクトップPCとほぼ同じような印象を持つかもしれません。
しかし、Razer Bladeはスタイリッシュなデザインだけでなく、厚さは20mmを大きく下回る17.9mm、重量は2kgを切る1.93kgと、14型のハイスペックなノートPCにしては携帯性が高いので、真に持ち運べるゲーミングノートPCと言えます。
本体の右側面を見てみると、奥からセキュリティスロット、フルサイズのHDMI 1.4b、USB 3.0、そして先進的なThunderbolt 3兼USB Type-Cが並んでいます。Thunderbolt 3はリバーシブルなUSB Type-C端子を採用しつつ、最大40Gbpsという高速なデータ伝送に対応しているのが特徴です(USB 3.1 Gen 2は最大10Gbps、USB 3.0は最大5Gbps)。
左側面にはACアダプター接続用のDC入力、USB 3.0が2つ、3.5mmのヘッドフォン/マイク兼用端子を装備しています。
SDメモリーカードまたはmicroSDカードのスロットが内蔵されているとさらによかったのですが、ポートの種類と数は十分でしょう。
さらにRazerは、純正オプションとしてThunderbolt 3接続でグラフィックスカードを外付けできるケース「Razer Core」を後日発売する予定です。これを使えば、デスクトップPC用のより高性能なグラフィックスカードの描画性能をRazer Bladeに加えることができます。またRazer Coreは、映像出力のほか、USB 3.0やギガビットLANの端子も備えていて、ドッキングステーションになります。
個人的にすごく評価しているのが底面のデザインです。シンプルなデザインをキープしながら、中型のファンが2基配置されています。本体の負荷が上がりファンが回り始めると、2基のファンが底面から空気を吸い、キーボードと側面の拡張端子から排気する仕組みです。ラバー製の足が側面全体に伸びているので、吸気するための隙間をしっかり確保してくれます。
ハイスペックとデザインの両立を図った薄型ノートPCの場合、発熱に無理がある製品も少なくなりません。物によっては、夏場に高負荷の状態が続くと、キーボードやパームレストに触れていられないくらい熱くなり、高温が原因で処理性能が低下する製品もあります。かつてRazerのゲーミングノートPCもかなり発熱するモデルが存在しました。
しかし、Razer Bladeの2016年モデルは積極的に発熱の対策をしています。実際にゲームや動画エンコードなどを長時間動かし、ファンが最高速で回り続けていても、想像以上にキーボードやパームレストの発熱が抑えられている印象です。
キーボード表面からの排気を指先で感じることができるので、風により発熱時のキー操作の不快感を低減してくれるのは、発熱問題にうるさい筆者としては評価の高いポイントでした。
本体の天板を開いてみると、14型ワイドの高精細ディスプレイとフルカラーで光るキーボードに目を奪われます。
液晶パネルはIGZOで、解像度はQHD+(3200×1800ピクセル)、画素密度は262ppi(pixels per inch:1インチあたりのピクセル数)というスペックです。液晶の美しさは、他メーカーのハイスペックノートPCと比較してもトップクラスのクオリティーだと思います。また、HiDPIに対応しているので、ソフトウェアさえ対応していれば日本語フォントなども美しく表示できます。
今回お借りした評価機のキーボードはUS配列で、ゆとりがあるレイアウトです。ちなみに、日本語配列キーボードでもキートップに「かな」の刻印がないので、すっきりした印象を受けます。
タッチパッドも大型で、タップによるクリック、2本指タップによる右クリックも可能です。さらに左右の物理ボタンが用意されているので、確実にクリックできます。最近のWindowsノートPCは、左右のボタンをタッチパッドに一体化した製品が多いのですが、ボタンが分離している方がクリックしやすいことは確かです。
筆者はMacBookシリーズを長く使っていた経緯があり、Appleの左右ボタン一体型トラックパッドはとても快適に操作できるポインティングデバイスとして評価しています。それに比べると、WindowsノートPCのタッチパッドでは満足した経験がほとんどなかったのですが、Razer BladeはMacBookに匹敵すると言っても過言ではない操作性で、全く不満がありません。
Razer Bladeの大きな特徴の1つが、約1680万色のフルカラーLEDを搭載したChromaキーボードです。光る様子を自慢できるだけでも、この機能に価値を感じる人がいるかもしれませんが、バックライトはソフトウェアでカスタマイズしたり、SDKを使って自分なりにプログラムで制御したりと、高度な設定が行えます。
Razerはゲーム開発会社などへ積極的にSDKを提供して対応を促し、対応したゲームではタメージを受けるとキーボードが赤くフラッシュしたり、操作可能なキーだけをライトアップしたりと、単なる見た目だけではない実用も考えた機能に仕上げています。
またキーボード自体もアンチゴースト機能と呼ばれるRazer独自のキーボード機構によって、キーの正確な同時押しが実現されているとのことです。正直、筆者ではその違いを体感するには至ってないのですが、ゲーミングPCならではの入力へのこだわりとチューニングが施されています。
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