50社の事務職に落ちても、プログラミングスキルがあるなら一発で就職できるアップルPickUp!

» 2017年03月09日 14時17分 公開
[らいらITmedia]

 3月8日の「国際女性デー」にあわせ、女性にプログラミングの面白さや新しいワークスタイルを語るイベント「いつでも誰でも学べるアプリケーション開発」がApple表参道で開催されました。

今や誰でも片手でプログラミングを学べる時代に

 平成22年国勢調査(PDF)によると、IT技術者の女性比率は14%前後と、全職業の女性比率42.8%と比べ著しく低い割合です。

 一方で、世界最大級となる通信関連の展示会「Mobile World Congress」(MWC)では、今年初めて、モバイル業界におけるジェンダー格差の解消をテーマとしたサミット「Women4Tech」が開催されました。男性比率の高いIT業界においても、近年は「男女関係なく活躍できる世界にしていこう」という意識が高まりつつあります。

MWC公式サイトより。世界中の無線通信関連企業が加盟する業界団体で、MWCの主催団体でもあるGSMAの正式なプログラムの1つとして、最終日に「Women4Tech」サミットが開催されました

 今回のイベントの登壇者である小林コトミさんも「女性が育児や介護にとらわれず、自由に働くことのできる世の中を作りたい」として、株式会社Manabelleを立ち上げた元プログラマーです。リリースしたプログラミング学習支援アプリ「codebelle (コードベル)」は、App StoreのBest of 2016「今年のベストApp10選」に選出されました。

プログラミングについて語る小林コトミさん。情報通信業界でプログラマーとカスタマーサポートを経験したのち、子育てのために退職。現在はManabelleの設立代表取締役を務めます

 もともと「仕事大好き人間」で長時間労働も厭わなかったキャリアウーマンでしたが、「仕事以外にも幸せを見つけたい」と退職し出産。その後仕事に復帰しようとしたところ、就職と育児を併行する厳しさに気づきます。「1歳の子どもを背負っての就職活動はこんなに大変なのかと思いましたよ」。

イベントには子どもを抱っこして参加した女性もいました

 さらに仕事と育児の両立を考え、「自宅の湘南から通勤30分以内」「定時に終わる」「土日が休日」と条件を絞って事務職を中心に応募したところ、大苦戦を強いられます。

 事務職は有効求人倍率が0.5倍前後と、2人に1人しか受からない激戦区状態(全体の平均有効求人倍率は1倍を超える)。大企業の多い都内ならまだしも、中小企業が中心の湘南エリアでは求人がさらに少なく、小林さんは「50社を受けて落ちました」と当時を振り返ります。

 そこで正社員時代のスキルを履歴書に書いたところ、それまで難関だった事務職に一発で再就職が決まります。「中小企業の事務職は業務範囲が広く、Webサイトの制作・更新やプログラミングができるだけで待遇がよくなります。地元で就職したいけれど仕事がないという女性はたくさんいましたが、事務職のスキル+αでプログラミングスキルがあれば強いですよ」。

小林さんの話に聞き入る参加者。女性向けのイベントでしたが、「新たなワークスタイルを考えるきっかけに」と参加した男性の方も半数近くいました

 大事なのはスキルを身につけること。ライバルが多くても、手持ちのカードに「プログラミング」が加われば、働き方の選択肢は一気に広がります。

 その後設立したManabelleでも新しい働き方を採用しました。「プログラマー時代は長時間労働に悩まされていましたが、今はクラウド化が進んでいるので、当社は月1、2回の出社でOKです。固定オフィスは持たず、全員取締役で全員在宅ワーカーです」。

 そんなManabelleが開発した「codebelle」は、1レッスン3分で学びが完結するSwift向けプログラミング学習支援アプリ。「子どもがいると座って15分勉強する時間すら取れないので」と、4歳の子どもを持つ小林さんの経験を元にしたアイデアがアプリ開発に生かされています。

小林さんがcodebelleを「自宅出産のアプリ」と表現したのが、女性ならではの言葉選びだなと印象的でした

 「今後の働き方を考えたくて」と今回のワークショップに参加したのは、7カ月の子どもを抱える元Webデザイナーの女性。妊娠したものの、派遣社員で勤務年数が1年未満だったため、育休が取れずやむなく退職しました。

 codebelleについては「iPhoneなら子どもを抱っこしながら片手で学べますし、専門のスクールに通わなくてもスキマ時間にできます。無料アプリなので、プログラミングの向き不向きを知るきっかけとしても手軽。Swift以外の言語でも学べるアプリが増えればいいなと思いました」と評価します。

ちなみにSwiftはAppleの教育向けアプリ「Swift Playground」でも学ぶことができます。現在日本語は未対応ですが、アニメーションを見ながら操作するので、英語が分からなくても楽しめます

 近年リモートワークや在宅ワークの選択肢が増えたことも歓迎しているとのこと。「子どもが熱を出して保育園から呼び出されると、職場を休まなければいけません。だから家でできる仕事としてプログラミングを勉強したいですね」と意気込みます。

 今回は女性向けのイベントでしたが、在宅ワークの形をとり育児をする男性も今後は増えることでしょう。小林さんは「いろいろな働き方ができる時代がやってくるので、その準備をする会社を作っていきたい」と目標を語ります。男女問わず、多様な働き方を自由に選べるように、+αとなるスキルを今から身につけてみてはいかがでしょうか。

最後に小林さんを囲んで記念撮影

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