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人気の激安モデル終息にみる「売れすぎると製品寿命が縮む」法則牧ノブユキの「ワークアラウンド」(2/2 ページ)

» 2017年07月30日 09時30分 公開
[牧ノブユキITmedia]
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「最終生産分を持って打ち切り」は穏便な着地の証拠

 このような事態になると、両事業部間で「手打ち」が行われることになる。OEM事業部からすると、自分たちが頑張って売ってやっているのに足を引っ張るとは何事だ、となるわけだが、リテール製品のシェアが低下して屋台骨が揺らぐ事態になっては本末転倒であることは、彼らも内心では理解している。今回の契約にゴーサインを出した経営層も、ここまでの反響は想定していなかったとばかりに手のひらを返して仲裁に乗り出してきて、かくして着地点を探すことになる。

 着地点というのはつまり販売の終息なのだが、OEM契約に中に最大で月産何台を何カ月といった台数や期間の条件が盛り込まれていれば、それらは順守しなくてはならず、即時終息とはいかないことも多い。またそれらの条件がなくとも、OEM先との関係からして突然打ち切るのが難しいのであれば、最後に何台を生産してそれを最終ロットにするというのが一般的な慣習だ。

 それらはOEM先とも協議しつつ決めることになるわけだが、その時点ではOEM先にとっては既に大ヒット製品となっているわけで、当然ながら難色が示される。しかしながら、大抵のケースではこれらが穏便に着地できるよう、契約の段階で何らかの条項が盛り込まれているのが普通であり、どうしてもという場合はおわびも込めて最終ロットの供給価格を若干安くするといったプラスアルファの条件をつけることで、問題なく収まるというわけである。

 ここで万一、契約時に終息にまつわる条項が盛り込まれておらず、物別れに終わった場合は、メーカーが製品を意図的に長期欠品させるなどの実力行使に出る場合もあるが、国内ではまず発生し得ない。最終生産分を持って打ち切るというアナウンスが行われたということは、つまり製品不良や取引停止などによるやむを得ない打ち切りではなく、OEM供給を行ったメーカー側の内部事情を発端とした、OEM先に対して頭を下げたうえで、ビジネスとしては穏便な終息に導けたことを、暗に示唆していると言っていいだろう。

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