日本HPの「HP Elite Slice」は、モジュールを使って機能拡張ができるビジネス向けコンパクトデスクトップPCだ。「ラグジュアリーでスタイリッシュな質感」のボディーデザインを採用し、性能面やセキュリティ面でも妥協をしていないことが大きな特徴だ。
この記事では、Elite Sliceの最上位モデル「HP Elite Slice オーディオモジュール付コラボレーションモデル」(直販標準価格17万8000円)をレビューする。
(記事中の価格は全て税別)
Elite Sliceのデザインは、プレミアムノートPC「HP Spectre」のラグジュアリーデザイン路線を踏襲している。上品なブラックのボディーに光る銅色のHPロゴを見るとそれが良く分かる。本体上部にあるスリットも銅色となっている。
ただし、使われている銅色は光沢を抑えた上品な色で、使われている面積も少なめだ。これぐらいであれば、オフィスにも十分なじむ。
デザインにこだわっていると聞くと「個人向け」というイメージを持つかもしれないが、Elite Sliceはあくまでも「ビジネス(法人)」向けだ。
「デザインがビジネスにとって重要なのか?」と疑問に思う人もいるかもしれないが、BYODの流れにも見られるように、昨今はビジネスにも「個性」を持ち込む時代でもある。デスク上のPCがスタイリッシュであれば、自然とデスク上を整理することになるし、そうなれば業務も円滑になるという考え方もできる。
本体サイズは165(幅)×165(高さ)×57(奥行き)mm。「Intel NUC」と比べると一回り大きいが、スリムタワータイプのデスクトップPCと比べると一回りも二回りもコンパクトだ。平置き設計であるため、スリムタワーよりも幅はとるが、後述のモジュールを使えば余計な幅を増やさずに機能を拡張できることがメリットだ。
Elite Sliceの最大の特徴は「カバー」と「モジュール」であると言っても過言でもない。
カバーは本体天板に搭載するもので、日本ではモデルによって「コラボレーションカバー」か「ワイヤレスチャージングカバー」を選択できる。
コラボレーションカバーは、Skypeを始めとするチャットアプリケーションでよく用いる「通話」「ミュート(消音)」「音量ダウン」「音量アップ」「終話」の操作を行えるタッチキーを備えている。会社でPCを使ったビデオ会議を頻繁にする場合に最適なカバーといえる。
ワイヤレスチャージングカバーは、「Qi(チー)」規格と「PMA(Power Matters Alliance)」規格の無接点充電機能を備えている。Elite Sliceの上にこれらの規格に対応したスマートフォンやモバイルバッテリーを置くと充電できるというわけだ。
なお、カバーは出荷状態から換装(交換)することはできない。米国のように購入時にカバーをカスタマイズできるようになると良いのだが……。
モジュールは本体下部に搭載する拡張キットで、ネジ不要で取り付け・取り外しができる。8月10日現在、以下のモジュールが用意されている。
オーディオモジュールはBang & Olufsen(B&O)の360度スピーカーを搭載し高品質オーディオが楽しめる。また、デュアルマイクも搭載しており、ハンズフリー通話時の音質が改善できる。オプティカルディスクドライブモジュールにはDVDスーパーマルチドライブを搭載しており、ファイルのバックアップやDVDやCDの再生などに便利だ。VESAマウントマウントモジュールを使うと、本体とその他のモジュールを一緒にVESAマウント対応ディスプレイに装着できる。
本体とこれらのモジュールは1本のセキュリティロックケーブルでまとめてロックできるように工夫されている。本体と個々のモジュールでそれぞれケーブルを用意せずに済むことは大きなメリットといえる。
なお、モジュールは本体購入と同時にBTOカスタマイズで追加すると、直販標準価格から若干の割引がある。また、今回レビューに利用したオーディオモジュール付コラボレーションモデルではその名の通りオーディオモジュールが標準で付属するのでおトクだ。
本体とモジュールの接続には特殊形状のUSB Type-C端子を用いている。重ねた際に本体側のオス端子と拡張モジュール側のメス端子が接続されるスマートな設計だ。ラッチで固定される仕組みとなっているため、スタックした(重ねた)状態で本体を持ち上げても拡張モジュール部が脱落するようなことはない。とてもスマートだ。
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