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» 2017年10月21日 07時00分 公開

ゲーミングPCで仮想通貨マイニングはできるのか 〜機材の選定から掘ってみるまで〜(2/2 ページ)

[井上輝一, 撮影:矢野渉,ITmedia]
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カードの都合で4枚挿しは断念

 グラフィックスカードには、「SAPPHIRE NITRO+ Radeon RX580」「SAPPHIRE NITRO+ Radeon RX580 Limited Edition」「PowerColor Red Devil Radeon RX 580」「ASUS ROG-STRIX-RX580-O8G-GAMING」をそれぞれ1枚、計4枚調達していた(バラバラなのはそれしか在庫がなかったため)。

用意したRX580たち

 これらはいずれも2スロット分以上の高さを占有する。そのため挿す前から嫌な予感はしていたが、実際に挿してみたところ、1枚挿すとどうしても1段下のPCIeポートに干渉してしまい、最大でも2枚までしか挿すことができなかった。

 筆者の事前の調査不足が原因だが、ATXの規格によれば1スロット分の高さは0.8インチ(20.32mm)に規定されている。つまり、4枚挿しをするためには高さが40mm未満のグラフィックスカードを調達する必要があったということだ。もし、グラフィックスカード4枚構成を考えているのなら、40mm未満のカードを選ぶよう気を付けていただきたい。

何はともあれマイニングしてみよう

 結局2枚挿しになってしまったとはいえ、用意したグラフィックスカードはRX580だ。2枚でも十分な速度は出るのではないだろうか。ややバージョンが違えど、同じ会社のカードのほうがトラブルが少ないだろうと考えて、SAPPHIRE NITRO+ Radeon RX580とSAPPHIRE NITRO+ Radeon RX580 Limited Editionの2枚でマイニングに挑むことにした。

SAPPHIRE NITRO+ Radeon RX580とSAPPHIRE NITRO+ Radeon RX580 Limited Editionの2枚を挿してマイニングにチャレンジ
なんとなく暗くして、気分を上げながらマイニングを始める筆者

 マイニングの方法はいくつかあるが、ここでは中でも簡単な「Nicehash Miner」を使ってマイニングをしてみる。

ハッシュレートの売買ができるサイト「Nicehash」

 準備は簡単。まずNicehashのサイトでアカウントを作り、採掘したコインを受け取るためのアドレスを作成する。

Nicehashのサイトで受け取り用のアドレスを作る

 同サイトからNicehash Minerをダウンロードして、「Wallet」のアドレスに先ほど取得したアドレスを指定する。

Nicehash Minorの「Wallet」項目に先ほどのアドレスを入力する

 ソフトから一度ベンチマークを回せば準備完了。後はスタートボタンを押すとマイニングが始まる。

 通常、マイニングをする際にはマイニングするコインの種類の選定や、ソロで掘るのか、「プールマイニング」で掘るのか、プールマイニングならどのプールを選ぶのか、といったことを自分で決める必要がある。

 プールマイニングというのは、個人で出せるハッシュレート(マイニング時の計算速度)は限界があるため、皆で一緒にマイニングして掘れたコインを、ハッシュレートの提供割合に応じて分配しようというマイニング手法のことだ。

 Nicehashでは、掘るコインを決める必要もないし、プールを選ぶこともない。Nicehashは実のところ、ハッシュレートの売買をするサイトなのだ。つまり、Nicehash Minerでマイニングをするユーザーは「ハッシュレートを売って報酬を得ている」ということになる。

 掘るコインを指定する必要がないのは、Nicehash Minerがその時最適なコインを選んでマイニングをしてくれるからだ。

 さて、マイニングの準備は整った。あとの問題は「掘れるコインの量と、かかる電気代が釣り合うか」というところ。

 Nicehash Minerでは、マイニングをスタートしてしばらくするとそれまで掘ったコインの量とかかった時間から、1日当たりおよそいくら掘れるかを試算してくれる。

 RX580を1枚で掘ったところ、1日当たり約175円、2枚で掘ったところ1日当たり約394円掘れるという試算が出た(実験当時の相場は1BTC約30万円で、掘れる量は常に変動する)。

1枚2枚 1枚でマイニングした場合(左)と、2枚でマイニングした場合(右)

 電気代は、ワットチェッカーを用いて計測した消費電力から計算することにする。経済産業省の2015年の資料から、東京電力の23円/kWhをここでは用いる。

 マイニングをしていないアイドル時では約70W、グラフィックスカード1枚でマイニング時では約275W、2枚でマイニング時では約500Wという計測結果だった。

アイドル時1枚2枚 アイドル時の消費電力(左)、1枚でマイニングしている時(中央)、2枚でマイニングしている時(右)

 ここから計算すると、1枚マイニングでは1日当たり0.275kW×24h×23円/kWh=151.8円、2枚マイニングでは1日当たり0.5kW×24h×23円/kWh=276円が電気代としてかかることになる。

 つまり、1枚マイニングでは1日当たり175円−151.8円=23.2円、2枚マイニングでは1日当たり118円の利益が出ることになる。それぞれ1カ月間回したとして、1枚なら696円、2枚なら3540円の利益だ。

 当然、掘れるコインの量や電気代など、それぞれの事情で変動するためこれは参考値にすぎないのだが、「だいたいいくら掘れるのか」という感覚はこの数字からつかめるのではないかと思う。

 これらの数値を見ると、確かに利益は出るが、PCパーツ購入代金を賄うには年単位で24時間稼働させないといけないことが見えてくる。それだけ長時間稼働させればその分故障リスクも上がるため、やはり元を取ろうというのはなかなか難しいことが分かる。

 また、消費電力の計測結果を見ると、グラフィックスカードのほかにもPC本体の消費電力もあるため、やはりPC1台に複数枚のグラフィックスカードを挿したほうが利益にはなりやすいようだ。

まとめ ゲーミングPCで仮想通貨を掘るなら

 電気代やマイニングの方法など、工夫できるのであればまた別だが、そうでなければゲーミングPCのように本来の用途があるマシンの空いた時間をマイニングに当てて、ちょっとお小遣いを発生させる程度の使い方が一般家庭としては現実的だろう。

 また、マイニング中はグラフィックスカードの温度が60℃〜70℃まで上昇する。夏場は室内の空調のため、エアコンがさらに電気代を食ってしまうが、これから肌寒い時期になってくればその心配はない。むしろ、マイニングすることで部屋も暖まり一石二鳥になるかもしれない。

 つまり、結論はこうだ。

 

 ゲーミングPCでも仮想通貨マイニングで利益は出る。

 ただし薄利のため、ゲームの合間にお小遣いを稼ぐ程度が良し。

 


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