CPU性能が200%アップ!? 「AMD Ryzen Mobile」特徴まとめ(2/2 ページ)

» 2017年10月31日 11時11分 公開
[石川ひさよしITmedia]
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SenseMIをモバイルに最適化、省電力機能を大幅に強化

 型番が2000番台となっているのは、モバイル向けに進化した「SenseMI」が大きい。SenseMIは、デスクトップ向けRyzenと同様に、Precision BoostやXFR、Smart Prefetchなど様々な機能の総称だ。

 Ryzen MobileでのPrecision Boostは、2へと進化し、従来では2コア以内の際に有効だったブーストが、2では3コア時でも効く。これにより負荷と温度に応じてより柔軟なブースト制御が可能という。XFRは、Mobile XFR(mXFR)となった。XFRがブーストよりもさらに上のクロックアップであったのに対し、mXFRは枠内でできるだけ高クロックをキープしようと働くことを指すとのことだ。

Precision Boost 2は、ブーストをより柔軟に制御

デスクトップ向けとはやや異なるmXFR

 モバイル向けの省電力関連機能では、「Synergistic Power Rail Sharing」や「Per-core Frequency and Voltage」、「Enhanced Gate States」、「Dual Region Power Gating」などが紹介された。Synergistic Power Rail Sharingは、APUコアへの入力電源を1系統とし、CPUはコア毎に、そしてGPUにもデジタル制御で低損失のレギュレータを搭載することで、それぞれに必要な電圧を供給する仕組みとされる。

APUに引き込む電源を1系統とし、内部の各CPUコアとGPUコアに低損失レギュレータを搭載することで最適な電力を供給する

 Per-core Frequency and Voltageは、CPU各コアおよびGPUコアの5つに分け、負荷に応じて動作周波数と電圧を素早く可変させる仕組み。各スレッドの負荷は常に変動するなかで、最も重要な部分に電力を供給できるという。

CPUの各コアおよびGPUコアでそれぞれの負荷に応じてクロックと電圧を制御する。例えば3DMarkのFire Strikeでは、GPU負荷が高いGT1/GT2ではGPU側に電力を割き、CPU負荷が高いPhysicsテストに移行した時にはCPU側に割くといったイメージ

 Enhanced Gate Statesは、Cステート関連の機能で、Ryzen MobikeではCPUの各コア毎とGPUに「CC6」と呼ぶパワーステートを持ち、100μs以下のレイテンシで個別にゲーティングを行う。その次の段階ではCPUコアとGPUに分け、1.5ms以下のレイテンシパワーオフを行う「CPUOFF」「GPUOFF」のステートに移行する。その状態がさらに続くと「VDDOFF」と呼ぶ電源を遮断するステートに移行する。

Ryzen Mobileにおける各ステート

 Dual Region Power Gatingは、パワーゲートの制御を「Type A」「Type B」という2つのリージョンに分けて制御する機能だ。RyzenではInfinity Fabricと呼ぶインターコネクトを採用しており、そこにCPUやGPU、メモリコントローラやディスプレイ出力などを接続している。こうした周辺回路は処理に応じて、そして処理の段階に応じて負荷が変わる。処理の開始時にはType A、Type Bともに求められ負荷がかかるが、処理の中盤にさしかかりType Aの負荷が抜けた段階ではType A側をパワーゲートによって休止状態に移行させ、電力消費を抑えると説明している。

2つのリージョンに分けることで処理中でも段階に応じて細かな電源管理を行う

 Ryzen Mobileは、RyzenとVEGAの性能を統合するとともに、モバイル向けに省電力機能を強化、かつその枠内で性能を引き上げるPrecision Boost 2などを備えた。これにより、スリム・軽量ノートで存在感を発揮していこうとしている。Ryzen Mobileを搭載するスリムノートPCは、AcerやHP、Lenovoといったメーカーから登場する見込みだ。

Ryzen Mobileを搭載するスリムノートPCは、第4四半期から順次出荷開始される見込み

トータルでの性能で、ライバルのモバイル向けプロセッサに対してアドバンテージをアピールする

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