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Windows 7から10への移行は進んでいるのか 2020年問題を起こさないために鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(2/3 ページ)

» 2017年12月11日 06時00分 公開

Windows 10を最新状態に保つ「Semi-Annual Channel」

 Windows 10は年2回の大型アップデートで最新の脅威にも対応しやすくなる一方、大型アップデートの頻度が高まることは、企業にとって負担増となり得る。そのため、アップデートの負担を減らす工夫も講じられている。

 2017年4月、Windows 10(およびOffice 365)の大型アップデート周期を年2回(3月ごろと9月ごろ)に固定し、企業ユーザーのアップデート期限を大型アップデートの配信開始から18カ月(従来は12カ月)に設定すると発表があり、アップデート計画を立てやすくなったことは朗報だ。

 これに伴い、アップデートのタイミングに関する名称も変更されている。一般ユーザー向けの「Current Branch(CB)」とビジネスユーザー向けの「Current Branch for Business(CBB)」の名称で呼ばれていた標準的なWindows展開モデルは、「年2回更新」を意味する「Semi-Annual Channel(SAC)」という名称になり、両者が区別なく一律運用されるようになったのだ。

 このSemi-Annual Channelはさらに「Targeted(日本語では“対象”)」と「Broad(または“表記なし”)に分かれ、それぞれ役割が与えられている

 Targetedは企業にとって事前検証フェーズであり、一部のPCを対象にアップデートの導入テストを行うための仕組みだ。Windows Updateからの提供に加えて、ボリュームライセンスからISO形式のインストールメディアも提供する。

 そこから約4カ月の検証を経て提供されるのが、安定版に位置付けられるBroad(無印)のSemi-Annual Channelだ。Targetedの期間に出た更新プログラムが適用されており、Windows Updateで公開済みのモジュールはこの段階で更新適用済みモジュールに置き換えられて再公開となる。企業はこのBroadを広域展開していく形だ。

 特に大規模な組織の場合、大量のクライアントPCの同時アップデートはネットワークの負荷も高く、トラブルが発生した場合のリカバーが厳しい。そのため、事前検証で少しずつ範囲を広げつつ、問題が起きないことを確認してから広域展開するわけだ。

Windows 7 EOS 大型アップデートの名称変更後の「Semi-Annual Channel」は、役割により2種類が存在する
Windows 7 EOS 2種類あるSemi-Annual Channelのそれぞれの役割

 2017年10月公開の大型アップデート「Fall Creators Update(1709)」以降は、「Unified Update Platform(UUP)」という差分アップデートの仕組みにより、アップデートのサイズが最大3分の1程度にまで縮小される。

 また、月例のセキュリティ更新プログラムについても開始時間の調整により「出社直後にアップデートで発生して作業ができない」という問題を回避できる他、アップデート中の操作不能な時間を短縮する改善が行われたことも相まって、ユーザーのアップデートに対するアレルギーの軽減が期待される。

「18カ月ルール」におけるWindows 10大型アップデートの流れ

 以上を踏まえたうえで、年2回行われるWindows 10大型アップデート計画のタイムラインを見ていく。

Windows 7 EOS 2種類あるSemi-Annual Channelのそれぞれの役割

 まず開発プレビュー版の「Windows 10 Insider Preview」における機能評価や互換性評価が「先行評価」段階としてあり、大型アップデート正式版の配信開始から約4カ月間はSemi-Annual ChannelのTargetedに相当する「一部展開」の段階となる。その後、Broadとして「全面展開」の段階に至るといった流れだ。Semi-Annual Channelによる1つの大型アップデートに対するサポート期間は18カ月間となる。

 この18カ月ルールでは、年2回の大型アップデートを全て適用していく必要はなく、1回だけならアップデートをスキップしてもサポートを継続して受けられる。ただし、18カ月間ギリギリまで次のアップデートを行わないといった運用は現実的ではない。アップデートを1回スキップする場合もTargetedとBroadのサイクルを利用して、組織内のPCを段階的に最新状態で維持するのが無難だ。

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