YouTubeを超えて広がる「好きなことで、生きていく」のいまITはみ出しコラム

» 2018年06月24日 06時00分 公開
[佐藤由紀子ITmedia]

 2014年に日本で流れた「好きなことで、生きていく」というYouTubeのCMは新鮮でした。好きで始めた趣味のYouTube動画に広告が表示されることで、それだけで食べていけるだけの収入がある人がいるんだ、と。そういう人はYouTuberと呼ばれるようになり、今では子どもがなりたい職業ランキングに入るほど、当たり前になりました。

YouTube 2014年10月公開のYouTubeキャンペーン動画「好きなことで、生きていく - HIKAKIN - YouTube [ Long ver. ]」(YouTube Japan公式チャンネルより)

YouTuberと広告主とのはざまで

 YouTubeの2018年6月の発表によると、動画広告での年収が5桁ドル(100万円台)のクリエイターの数は35%増加し、6桁ドル(1000万円台)稼ぐ人は40%増加したそうです。いつと比べてなのかも、具体的な人数も明示していませんが、まあともかく、「好きなことで、生きていく」ことができる人が増えているのは確かでしょう。

 こういう稼ぎ頭のクリエイターはYouTubeにとっても大事です。そして、もちろん広告主も大事。YouTubeの広告は広告主が決めた条件に合っているはずの動画に自動的に表示されますが、これがうまくいかずに英米では2017年3月、大手広告主が広告を引き上げる騒ぎがありました。一方で、人気ほしさに一線を超える米国の人気YouTuber(自殺遺体動画の投稿)も問題になりました。

 そうしたことを受けてYouTubeは、広告掲載の基準を厳しくしましたが、自動判定がまだうまくいかないようで、問題のなさそうな動画にまで広告が掲載されない「デマネタイズ」問題が生まれています。

YouTube 掲載されるはずの広告が表示されないことが……

 かつてはYouTubeくらいしかなかったクリエイターの活躍の場は、Vine(はなくなっちゃったけど)やInstagram、そしてFacebookなど、選択肢が増えています。YouTubeへの不満が高まれば「エクソダス」になりかねません。

広告以外のマネタイズツール追加でエクソダス防止へ

 そこで、YouTubeは広告以外のマネタイズツールを追加しました。チャンネル登録者から月々お金を取るサブスクリプション機能「スポンサーシップ」やチャンネルのページで関連グッズを販売する機能です。2017年1月に追加したマネタイズツール「スーパーチャット(いわゆる投げ銭)」をライブ以外で使えるようにもしました。いずれもある程度人気が確立できているクリエイター向けで、エクソダス防止策なのは明らかです。

 スポンサーシップのサブスクリプション料は1人当たり月額490円。その7割である343円がクリエイターの取り分です。1000人が登録してくれれば月収34.3万円。いいなー。

YouTube スポンサー料は月額490円

 でも1000人の獲得は大変です。月額490円なんて安いじゃないか、と思いたいですが、いつの間にかいろんなオンラインサービスにサブスクリプトしていると、これ以上増やしていいのか考えてしまいます。SpotifyとかNetflixとかOffice 365とか。通信料金もあるし、私の場合は仕事のために有料ニュースメディアにもお金を払っています。その上でさらにお金を払ってでも見たいと思わせるコンテンツはあるかなぁ。

 YouTubeのおかげで、好きなことで生きていける可能性は広がりましたが、実現できるのは才能やセンスや表現したいことを持つ人だけ、というのは変わりません。

 ゲーム実況のTwitchにもマネタイズツールがありますが、こちらもゲームスキルだけではなく、エンターテイナーであることも必要です。

Facebookのグループ管理者で生きていける?

 なお、クリエイティブな才能がなくても人を引きつけたりまとめたりするソーシャルな力を持つ人が、オンラインでマネタイズするサービスも出てきています。その1つ、Facebookがテストを開始したサブスクリプション制グループはもう、余技というより立派なビジネスになりそうです。

 Facebookのグループというのは、参加するとその中だけで投稿を共有できるインナーサークルです。趣味や職業のグループがたくさんあります。人気のグループは数万人を擁するところもあり、そうなるともう、けんかの仲裁やマナーの悪い人への制裁もしなくちゃならないし、無償で運営するのは大変です。

 そこで人気のグループの中に、有料会員だけが参加できるグループを作れるようになりました。こちらも、お金を払ってでも参加したいと思わせる力量が必要です。サブスクリプション料は最高で月額29.99ドルまで。

 例えば、家の整理整頓のためのグループ「Declutter My Home」は、有料グループ「Organize My Home」を作り、そこでは特別なお掃除Tipsやインタラクティブに相談できるサービスなどを提供するそうです。

Declutter My Home 整理整頓グループの「Declutter My Home」は4万人以上が参加しています

 クリエイティブなこともソーシャルも、まだAIが苦手とするところ。これらのスキルがある人は、オンラインだけでなく、実社会でも生き延びられそうです。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年09月10日 更新
  1. ワコム、Android液タブ「Wacom MovinkPad」シリーズを最大約4.8万円値上げ 9月25日から (2026年09月09日)
  2. 薄型化とカメラ強化が光る「Pixel 11 Pro Fold」徹底レビュー! Galaxy Z Foldとの比較で見えた“正統進化”の真価 (2026年09月09日)
  3. 天井照明一体型プロジェクター「Aladdin X3 Laser 4K」を試す 4K+3色レーザーで“本気の大画面シアター”に進化 (2026年09月09日)
  4. 超小型レトロオーディオ体験をFIIO「Snowsky ECHO NANO」で スマホリスニングのモヤモヤを解消するかも? (2026年09月08日)
  5. 「RTX Spark」搭載のWindows PCは10月に登場 LAN内のPCを束ねてローカルAI処理を分散・高速化する「NVIDIA PAIR」β版も公開 (2026年09月07日)
  6. 4Kゲームプレイを低遅延で配信・録画できる「UGREEN 4K HDMI キャプチャーボード」がセールで30%オフの4199円に (2026年09月09日)
  7. Apple参入のうわさで沸く2026年 パイオニア・サムスンが魅せる「折りたたみスマホ」の現在地 (2026年09月09日)
  8. 実売1万円台&縦置き対応! ONPUの14型モバイルディスプレイは初心者の強い味方だった (2026年09月08日)
  9. パナソニック、Fire TV搭載テレビにフルHD対応のエントリー32型/40型モデルを追加 (2026年09月09日)
  10. 両手が塞がっていても瞬間解錠できるスマートキー「SwitchBot スマートロック Ultra 顔認証パッド」がセールで20%オフの2万7980円に (2026年09月08日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー