Microsoftが「Amazon Go」に対抗しようとする理由:鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(2/2 ページ)

» 2018年06月28日 06時00分 公開
前のページへ 1|2       

プラットフォーム化が加速する小売店舗

 Amazon Goに代表される、AI店舗システムの分野における技術はものすごいスピードで進化しており、1〜2年の遅れが致命的となる可能性が高い。その意味で今回のMicrosoftの動きは、ライバルの先行を許さないというクラウド市場での競合と同じ構図といえる。

 ここで重要なのは、「小売店舗」という枠組みそのものが、最新技術によって「プラットフォーム」化されつつある現状だ。Amazon Web Services(AWS)がそうであるように、Amazon.comはAmazon Goを「リアル店舗向けのプラットフォーム」として提供しようとしているのではないか。

 だとすれば、プラットフォーム事業者として深く潜行し、OEMやパートナーらに必要な技術やサービスを提供することをなりわいとするMicrosoftにとって、Amazon.comの動きを警戒するのは当然の流れだ。そう遠くないタイミングで、パートナーを交えてこの最新技術をアピールする場がやってくると考える。

 実は、Microsoftは過去何年にもわたって小売事業者を対象とした技術やソリューションの提供で広く業界にアピールを続けており、最近ではCognitive Servicesを組み合わせたAI的なソリューションが増えつつある様子がうかがえる。

 例えば、筆者は毎年1月に米ニューヨークで開催される全米小売協会(National Retail Federation:NRF)の展示会「Retail's Big Show」の取材を続けているが、ここでもMicrosoftは巨大なブースを構えて各種ソリューションを展示している。ここでの展示はMicrosoft製品ではなく、同社の製品やサービスを使ったパートナー各社のソリューションであり、一種のパートナーお披露目会場のようだ。

 数年前は顧客管理システムのような仕組みが多かったように記憶しているが、最近ではAI的なものを組み合わせた技術展示が増えている。最新トレンドを反映する傾向が強く、2019年1月の展示ではよりAmazon Goを意識したソリューション展示が増えるのではないだろうか。

Retails Big Show NRFの2018年1月に開催された展示会でのMicrosoftブース
Retails Big Show 入口に掲示されたディスプレイには、Cognitive Servicesによって自動集計された来場者情報がリアルタイムでアップデート表示されている

 また最近では、英国の大手小売業者であるMarks & Spencerとの提携により、AIを駆使した店舗オペレーションの改善や顧客体験の向上について取り組みが進んでいるという、Chain Store Age(CSA)の報道もある。

 Walmartを含め、既存の大手小売らはAmazon.comの伸長に神経をとがらせており、各社各様のデジタル戦略を強化しつつある。Microsoftはその点で提携パートナーとしては適任であり、変化しつつある小売業界の中核で陰になり日向になり、その名を現出させていくことだろう。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年10月30日 更新
  1. 有機EL&タッチ対応の新型「MacBook Pro」発表 デザインを全面刷新、“光るAppleロゴ”も復活 (2026年10月29日)
  2. Amazonが新AIアシスタント「Alexa+」の日本語版をリリース 「Amazon プライム」会員なら追加料金なしで利用可能 (2026年10月29日)
  3. スマホやPCにいる“推し”を手元に――ソニーのコンパクトな空間再現ディスプレイ「ELF-MN1」は今までと何が違う? 実機を体験して分かったこと (2026年10月29日)
  4. Amazonが新型「Echo Dot」を発売 液晶ディスプレイ付きスマートクロック「Echo Time」も新登場 (2026年10月29日)
  5. Apple、M6チップの新型「iMac」発表 CPU/GPUを最大12コアに強化、AI処理はM4の最大5倍 24万9800円から (2026年10月27日)
  6. M6チップの新型「14インチMacBook Pro」登場 CPUとGPUが12コアに、バッテリー駆動はMac史上最長の24時間 (2026年10月27日)
  7. 有機EL+タッチ対応で“再構築”された新型「MacBook Pro」 現地体験で見えた「PROLED XDR」の真価 (2026年10月30日)
  8. 増えたボタン+新しいホイール=仕事にも便利! Razerの新型ワイヤレスゲーミングマウス「Basilisk V4 Pro」を試す (2026年10月29日)
  9. 有機ELの新型「iPad mini」発表 A20 Pro、IP67対応、8.5型に大型化して11万9800円から (2026年10月26日)
  10. 約260gの軽量化! 15.6型×2画面の変幻自在ディスプレイ「LCD15HC-IPSDUAL2」を使って分かったこと (2026年10月28日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー