ベンチマークテストの結果を見よう。評価機のスペックは、CPUがCore i9-9900K、グラフィックス機能がNVIDIA GeForce GTX 1080(8GB)、メモリが32GB、メインデータストレージは240GBのSSD(Serial ATA 6Gb/s)、OSはWindows 10 Home 64bit(1803)という内容だ。
まずはCPUの性能から。IntelのCPUの周波数は、Turbo Boost Technology 2.0で管理されており、温度や電流が許容値を超えようとすると安全のためのリミッターが作動するため、同じCPUでも放熱設計や許容値の設定で性能が変わってくる。ノートPCだけにどこまで引き出せるかに注目だ。
CPU性能の目安になるCINEBENCH R15のCPUスコアは、1840。簡易水冷のデスクトップPCならば2000を超えるスコアが出るのでそれには及んでいないが、それでもCore i7-8700K搭載のデスクトップPC(Core i7-8700K、メモリ16GB、PCI Express SSD、GeForce GTX 1070 Ti)のスコアを大きく上回っている。もちろん、ノートPCとしては傑出したスコアだ。
実際のアプリケーションを使ったテストも見ていこう。Lightroom Classic CCでは、100枚のRAWファイルに対して露出や明瞭度など、ノイズ除去などの現像パラメータを指定してCore i7-8700Kを搭載したデスクトップPC(自作、メモリ16GB、512GB PCIe SSD、GeForce GTX 1070 Ti)よりも30秒早く終了した。
Premiere Pro CCでは、7本のビデオクリップをトランジションエフェクトで連結し、さらにBGMを付加したプロジェクトをMP4ファイル(H.264)に書き出す時間を測定した。こちらは逆にCore i7-8700K搭載PCよりも時間がかかった。Lightroom Classic CCでの処理に比べてCPUへの負荷が高く、リミッターが早く作動しているためと思われる。
本製品はクリエイター向けモデルだが、GPUにGeForce GTX 1080を搭載しているので、3D描画性能もテストした。FINAL FANTASY XIV:紅蓮のリベレーターベンチマークのスコアはGeForce GTX 1080搭載機としては若干低いかもしれないが、それでも優秀なスコア。たいていのゲームは高画質で快適に楽しめる。
高性能なシステムのため、高負荷時には動作音が大きくなるが、それほどでもない。うなるような音や甲高い音が抑えられているのでうるさい印象がない。発熱についても手が触れる部分には全くといってよいほど伝わってこないため、邪魔されることなくコンテンツ制作に没頭できるだろう。デスクトップPC向けのCPUの性能を引き出しつつも無理をしすぎず、使い勝手とのバランスがしっかり考慮されていると感じる。
このDAIV-NG7630シリーズは、パワフルなCPUとGPUに大容量メモリ、高速に使えて大容量のスペースも確保したストレージ、そしてAdobe RGB 100%対応の美しい大画面液晶ディスプレイを備える。さらに高速メモリカードスロット、高速インタフェースと、まさにクリエイターにとっては理想的な構成だ。サブウーファを加えたサウンドシステムも搭載しており、エンターテインメント機能も一流。使い勝手に関しても申し分ない。
販売価格は35万9800円(税別)から。評価機の構成では36万9,800円(税別)だ。さすがに高価ではあるが、これだけのぜいたくな内容を扱いやすいノートPCに収めていることを考慮すれば、決して高すぎることはない。ハイパワーが欲しいクリエイターにとって非常に魅力的な選択肢といえる。
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