達人レビュアーが選んだ2018年のイチオシPC2018年ベストガジェット(3/3 ページ)

» 2018年12月29日 19時54分 公開
[鈴木雅暢ITmedia]
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広い層にリーチできるクリエイティブPC――「DAIV-DGZ530」シリーズ

 ゲーミングPCに続くのは、クリエイターPC。IntelはPCの新しい活用法として、このように具体的な用途向けに適したPCの提案を行っていくことを明らかにしている。ただ、第9世代Coreを最高のゲーミング向けCPUとして訴求する一方で、Intelがクリエイター向けとして強く訴求しているのは、LGA 2066のCore-Xシリーズだ。

 確かに超メニーコアはレンダリングやエンコード、フィルター処理などと相性が良いし、メモリも多く搭載できて、パフォーマンス的には最高だが、高コストなLGA 2066が適切なのかということについては疑問が残る。

 バリバリのプロのクリエイターやハイアマチュアが高価なツールを使って大規模な制作を行うことが前提ならば最高の選択肢だが、YouTube、InstagramなどのSNSで手軽に作品を投稿できるようになってクリエイターの層が広がっている今、アプローチの仕方はもう少し柔軟でも良いと思う。それこそ万人が扱いやすいメインストリームの枠内でメニーコアを実現した第9世代および第8世代Coreこそ、クリエイティブに適していると感じる。

DAIV-DGZ530シリーズは、マウスコンピューターが展開するクリエイター向けブランド「DAIV」の中でも比較的リーズナブルなデスクトップPC。それでも仕様は本格派。BTOメニューには、大容量メモリ、大容量ストレージ、高速カードリーダーなど、クリエイターのニーズにミートする選択肢がそろう

 Intelよりも前からクリエイターを意識し「DAIV」ブランドを創立して実績を挙げているのがマウスコンピューター。DAIVブランドのPCには、Core-Xを搭載した豪華クリエイティブマシンだけでなく、第9世代Coreや第8世代Coreを搭載した、より広い層にリーチできる選択肢も多数用意されている。

 この中から、クリエイティブを意識しはじめたユーザー向けにお勧めするとすれば「DAIV-DGZ530」シリーズ、具体的には「DAIV-DGZ530S2-SH2-VR」あたりを挙げたい。CPUクーラーを上位グレードに、メモリを32GBに、SSDは2TBを選び、HDDは省く、という構成がお勧めだ。 UHS-IIメモリカードに対応した高速カードリーダーがBTOで追加できる点などからもクリエイターのニーズをしっかり把握していることが感じられる。

番外編――ソニー「α7III」

 2018年の個人的ベストPCはレノボのThinkPad X1 EXTREMEだが、PC以外でそれ以上に推したい製品がある。それがソニーのデジタルカメラ「α7III」である。

ソニーのα7III(左)とα9(右)。α9はバッテリーグリップを付けているので巨大に見えるが大きさは同じ。プロ用途にも使える実力を持ちながら、小型軽量レンズを付ければ、フルサイズの表現力を常に持ち歩くことができる

 2018年のカメラ業界を席巻した「フルサイズミラーレス」。先駆者であるソニーの3世代目のベーシックモデルだが、この第3世代になってからの進化が実に素晴らしい。瞳AFをはじめとするAF性能や手ブレ補正機能の進化に加えて、デュアルカードスロット、親指AFボタンの装備など使い勝手や操作性の部分での進化も大きかった。フルサイズセンサーを搭載しながら小型軽量であること、2400万画素カメラとしては最上級に画質が良いこと、さらにマニュアルフォーカスのしやすさなどミラーレスならではのメリットも気に入っているポイントだ。

 ボディーが小型軽量でも高性能なレンズは大型で重量もあるために全体ではさほど軽量にならない。実際、筆者も普段はバッテリーグリップと大口径レンズを装着し、小型軽量とはいえないゴツい装備で使っている。しかし、α7シリーズのEマウントには小型軽量でそこそこの映りのレンズがたくさんある。レンズをそれらに変えれば、機動力の高いスナップシューターとしても利用できる。

 これまで筆者は写真が主目的でがっつり撮りたい時はニコンの一眼レフ(D3S、D810等)、情報優先でさほど写真品質が要求されない記者仕事や身軽な装備で撮りたいときはマイクロフォーサーズのミラーレス(パナソニック DMC-GX8等)という使い分けをしていたが、ソニーのEマウントならば、レンズを変えるだけで両方をカバーできる。レンズを共用できるので投資もしやすい。フルサイズセンサーの表現力を常時持ち歩けるメリットは大きい。

 あまり触れられないが、ローパスフィルターは搭載されている。かつて所有していた機材の経験から画質への影響が大きいと感じていたため、個人的にはこの点が最も気になっていたが、かなり限定的に使用されているようで、ローパスフィルターレスの高画素カメラと比べてもそれほど遜色ない繊細な写真が撮れる。これが購入の決め手だった。

 ピント拡大機能によるマニュアルフォーカスが使いやすいこと、センサーに像面位相差AFセンサーを搭載するためミラー機ではピントのズレが怖くて仕事では使えなかったF1.4などの被写界深度の浅い絞りでも躊躇(ちゅうちょ)なく使えるようになったことなどもあり、α7IIIを購入したことで、写真表現の幅は大幅に広がった。

 もちろん、予期できない事象に対して瞬時の対応が求められる報道写真やスポーツ写真では一眼レフにアドバンテージがあるように思うし、レフ機よりミラーレスが上などというつもりはない。

 α7IIIを手に入れたことで趣味で撮影する機会が格段に増えた上、仕事でも多用することになったため、ハイエンドモデルのα9(2017年発売)を追加購入しており、現在のメイン機はα9となってしまっているのだが、2018年の傑作製品として挙げておきたい。

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