好調を維持する日本HPが新年度方針 今後はPCのセキュリティに注力

» 2019年01月24日 12時00分 公開
[田中宏昌ITmedia]

全世界の全事業で成長を果たした2018年度

 日本HPが2019年1月23日、報道陣向けに事業説明会を開催した。

 冒頭、同社代表取締役 社長執行役員 岡隆史氏が同社の業績について「2018年度は全ての事業、全ての国で成長ができた珍しい年度となり、改めて自信を深めている。一方で将来を考えると、今ある事業だけでなく戦略的な投資を積極的に行っている最中だ。新しいサービスモデルを考えながら、コア事業を成長させていくこれまでの方針に変更はない。国内の成長率は13期連続で成長を続けており、PC事業の直近5期は業界の中で最も成長率が高く、国内シェアも15%に伸びた。しかし、グローバルの成長率は23%なので追いつけ追い越せで頑張っている」と述べた。

日本HP 日本HPの岡隆史 代表取締役 社長執行役員
日本HP HPのワールドワイドでの業績。売り上げは約6.4兆円に上る
日本HP 日本HPのPC出荷台数は前年同期比で27ポイント成長し、国内シェアは15%と0.4ポイントアップした

 岡氏は「HPは1939年に米パロアルトで設立され、2019年で創立80周年を迎える。これまでも世界初のオーディオ発振器を皮切りとして、新しいイノベーションを届けてきたが、それが成長の母体となっている。HPのワールドワイドでテーマとなっているのが“持続可能性”で、ビジネスの中でエネルギーの使い方や環境保護といった観点で、HPとして意識してケアをする対象を地球と捉えてやっているイメージだ」と解説した。

日本HP 全社のビジネスを横断するテーマが持続可能性だという

 さらに「日本の常識は世界と違うということは分かっており、世界のスタンダードを一番いい形で国内にお届けするのが日本HPの使命だ。そのために工場やコールセンターを日本独自のものとして持ち、日本の顧客に最適なものを届け続けるというのが日本HPの最大のミッションとなる」とまとめた。

日本HP 日本国内に生産・物流工場やサポートセンターを配置している

PCのセキュリティが経営課題になる

 コア事業の一つとなるPC事業については、専務執行役員 パーソナルシステムズ事業統括の九嶋俊一氏が登壇し、「PCの事業は2015年度から、“コア・成長・将来”というカテゴリーに分けてそれぞれに取り組んでいくという大きな戦略は一貫している。2018年度は個人向けPCでデザイン訴求やゲーミング領域で成長していくとし、法人はデザインに加え、セキュリティ強化や月額課金と付加価値のサービスを強化してきた。将来という意味ではVR市場を立ち上げるべく先進事例に注力した」と総括。

 「その成果として、個人向けでは13型のプラミアムノートPC市場では2倍に成長(出荷台数の前年同期比成長率)したのと、国内のゲーミングPC出荷台数で第1位を獲得(2018年度第1四半期〜第3四半期の累計出荷台数)したのがポイントだ」と振り返った。

日本HP 13型のプレミアムノートPCが大きな成長を遂げた
日本HP 日本のゲーミングPC出荷台数でOMENシリーズがトップを獲得した
日本HP 2019年度のPC事業方針。15型のプレミアムノートPCに注力するという
日本HP 法人PCでは、日米で選定基準が変わりつつあるなどセキュリティが経営課題になるとして、さまざまな提案を行う

 さらに九嶋氏は「日本のPCの市場は15型の古いPCを使っている人がまだまだ多く、2019年は積極的に15型プレミアムノートPCを訴求する。法人市場では、PCのセキュリティが経営課題になると考えており、日本や米国の新しい基準にきちんと答えた上で製品やサービスを届けていきたい」と新年度に向けた意気込みを語った。

 昨今話題になっているIntel製CPUの供給不足については、「日本のお客様の需要に応える形でCPUの確保に努めている。各メーカーに対して十分な供給がなされていないのは事実だが、国と国との力関係なので、日本では今これだけ大事なんだということを週替りでコミュニケーションしている最中だ」と岡氏および九嶋氏が説明した。

日本HP 世界における総印刷枚数の90%超が商業および産業印刷であり、その約4割にあたる516億ドル規模がHPの対象市場というグラフィックスソリューション事業。デジタル化に対するホワイトスペースが大きいので、積極的に取り組んでいくという
日本HP 3Dプリンティング事業では、比較的小型で価格も求めやすい新製品「HP Jet Fusion 500/300」シリーズを投入する。金属素材に対応した「HP metal Jet」も2021年の一般販売を目標に継続して取り組んでいくという

※記事初出時、グラフの説明などで誤りがありました。おわびして訂正いたします(2019年1月25日)

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