仕事やプライベートにおいて、何でもスマートフォンで済ませる人が増えているといいます。しかし、ワープロや表計算、写真や画像の整理と編集、Webブラウズや動画視聴においてパソコン(PC)があると何かと便利です。
中でも、ディスプレイのサイズが15型台のノートPCは、画面の大きさと設置面積のバランスが良いことから一番ラインアップが豊富。それだけに、何を基準にして選ぶのか難しい面もあります。
そこで、この記事では価格と性能のバランスが良い「実売価格10万円前後」を基準として、より快適な15型台ノートPCを選ぶポイントと、それを踏まえた上でのおすすめのWindowsノートPCをご紹介します。
(価格は特記のない限り税別です)
CPUは、人間でいえば「頭脳」に相当する場所。現行のPCでは、大半がIntel製かAMD製です。いずれのメーカーでも世代が同じなら「クロック周波数」が高ければ高いほど、「コア(処理ユニット)」や「スレッド(処理レーン)」の数が多ければ多いほど、処理能力が高くなります。
Intel製のノートPC向けCPUには「Celeron(セレロン)」「Pentium(ペンティアム)」「Core(コア)」の3ブランドがあり、同一世代ならCore、Pentium、Celeronの順に高性能です。最上位のCoreシリーズにも序列があり、同じ世代なら「Core i9」「Core i7」「Core i5」「Core i3」の順に高性能です。
今回取りあげる10万円前後のノートPCでは、価格と性能のバランスの良いCore i3プロセッサまたはCore i5プロセッサを採用している機種が多いです。
AMD製のノートPC向けCPUには「Aシリーズ」「FXシリーズ」「Athlon(アスロン)」「Ryzen(ライゼン)」の4ブランドがあり、同一世代ならRyzen、Athlon、FXシリーズ、Aシリーズの順に高性能です。最上位のRyzenシリーズにも序列があり、同じ世代なら「Ryzen 7」「Ryzen 5」「Ryzen 3」の順に高性能です。
AMDのCPUは価格の割に性能が良い傾向にあることで知られ、今回取りあげる10万円前後のノートPCでは、より高性能なRyzen 5プロセッサやRyzen 7プロセッサを採用している機種が珍しくありません。ノートPC向けRyzenプロセッサはAMDのGPU「Radeon(ラデオン)」の機能も統合しており、3Dグラフィックスや動画再生のパフォーマンスが良好であることもポイントです。
メインメモリは、アプリやデータを一時的に展開する場所。人間でいえば「短期記憶」に相当します。できるだけたくさんあった方がいい……と言いたいところですが、たくさん積めばそれだけPCの価格が上がってしまうので現実的ではありません。
必要なメモリの量はPCでやること(やりたいこと)によって左右されますが、Webブラウズや動画視聴、Officeで簡単な文章作成や表計算を行う程度であれば少なくとも8GBあれば十分です。
「そもそも初期メモリが8GB未満だよ!」という場合、あるいは「写真や動画の編集をするから8GBじゃ足りないよ!」という場合でも、メモリを増設(または換装)できる機種であれば後からメモリを買って足したり交換したりできます。メモリを簡単に交換できる機種かどうかの確認もしておくと良いでしょう。
データを保存するストレージは、人間でいえば「長期記憶」に相当します。ノートPCの場合、ストレージとして「HDD(ハードディスクドライブ)」または「SSD(ソリッドステートドライブ)」のいずれかを採用していることが多く、それぞれに長短があります。
HDDは手頃な価格で大容量であることが長所。一方で読み書きに時間が掛かることが欠点です。「コストをかけずに、データをたくさん保存したい!」という人にはHDD搭載モデルをおすすめします。
一方で、SSDは読み書き速度が高速であることが長所。特にWindowsの起動時や大容量のデータを一気に書き込む場合にHDDとの差が出やすいです。一方、容量の割に高価であることが欠点です。「とにかく待たされるのがいや!」「大きなデータを読み書きする機会が多い」という人にはSSD搭載モデルをおすすめします。
ちなみに、最近は「SSHD(ソリッドステートハイブリッドドライブ)」を搭載しているノートPCもあります。これはHDDにある程度大容量のフラッシュメモリを搭載しているもの。よく読み書きするデータのアクセスが高速化する効果がありますが、特性的にはHDDに近いものとなります。
一昔前と比べると、ノートPCのディスプレイの画質も向上しました。10万円前後のノートPCにおいて、画質面で「何だかなぁ……」という思いをすることは基本的にはないはずです。ただ、2点ほど気にとめておきたいことがあります。
1つはディスプレイの「解像度」。画面の縦横にどれだけの画素(ピクセル)が並んでいるかを示す数字で、表示の密度(きめ細かさ)のバロメーターになります。PCで写真や動画を楽しむ機会が多い場合、あるいは表計算ソフトを良く使う場合は「フルHD(1920×1080ピクセル)」解像度以上のディスプレイを備えるモデルを買うことを強くおすすめします。とりわけ表計算ソフトでは、作業効率の面で「HD(1280×720ピクセルまたは1366×768ピクセル)」ディスプレイとの差が大きいので、できるだけフルHDモデルを選ぶようにしましょう。
もう1つはディスプレイの「表面処理」です。
ノートPCのディスプレイの表面は、大きく「ノングレア(非光沢)加工」と「グレア(光沢)加工」のいずれかが施されています。
ノングレア加工は「明るい場所での視認性が高い」「長時間見ても目が疲れにくい」といったメリットがある一方、「映像の鮮やかさが控え目」というデメリットがあります。Webブラウズや文章作成、表計算などをメインに据える人におすすめです。
グレア加工は「映像がより鮮やか」というメリットがある一方、「光が反射しやすい(利用者や蛍光灯などが映り込みやすい)」「長時間見ると目が疲れやすい」といったデメリットがあります。動画視聴をメインに据える人におすすめです。
15型以上のサイズのノートPCの場合、光学ドライブ(DVDスーパーマルチドライブやBlu-ray Discドライブ)を備えるモデルがほとんどである一方、“あえて”省くモデルも少数ながら存在します。
この点については、ノートPCで「光学メディアの映像ソフトを楽しむ」「書き込める光学メディアでデータのやりとりやバックアップをする」頻度に応じて判断しましょう。
使う頻度が多いなら光学ドライブを内蔵したモデルがおすすめですし、逆に使う頻度が少ないなら内蔵していないモデルで構いません(その分軽くなります)。
光学ドライブを搭載しないモデルでも、USBの外付け光学ドライブ(別売)を使えますから、必要に応じて後で買うこともできます。
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