Intelは、「COMPUTEX TAIPEI 2019」の初日となる5月28日、Industry Opening Keynoteにおいて、グレゴリー・ブライアント上級副社長兼クライアント・コンピューティング事業部ジェネラル・マネージャーが登壇し、開発コード名「Ice Lake」(アイス・レイク)で知られる、Intel初の10nm「本格的量産」型CPUとなる第10世代Coreプロセッサの顧客向け出荷の開始を明らかにするとともに、デスクトップPC向けの高性能CPU計画などを説明した。
まず、最大のトピックである第10世代Coreプロセッサは既報の通り、まずモバイル向けのUプロセッサ、Yプロセッサの2種類を投入し、主要PCベンダーから搭載製品が2019年末の商戦までに登場する予定となっている。
Ice Lakeこと、第10世代Coreプロセッサは、CPUアーキテクチャを一新し、IPCを向上させた「Sunny Cove」(サニー・コーブ)コアを採用するとともに、深層学習向けの命令セットとなるDL Boostにも対応、AI処理性能はSkylake世代と比べて2倍に向上するという。
また、CPU内蔵GPUコアも11世代目となる「Gen11」へと進化し、Intelグラフィックスの実行ユニット単位であるEU(Execution Unit)を64に増やすとともに動作クロックを引き上げることでグラフィックスやビデオ支援のパフォーマンスをSkylake世代(Gen9)の2倍に高めるとともに、4Kビデオの再生支援やHDR対応、VESA Adaptive Sync(AMD FreeSyncをベースに標準化されたリフレッシュレート同期技術)への対応が果たされる。メモリコントローラーもDDR4に加え、LPDDR4およびLPDDR4X対応となり、DDR4では最大64GB、LPDDR4およびLPDDR4Xでは最大32GBのメモリを搭載できるようになる。
I/O回りでは、CPUコア側にThunderbolt 3を統合し、2ポートのThunderbolt 3またはUSB 3.1 Gen2対応をサポートするとともに、CPUパッケージに搭載されるPCH側に最大通信速度9.6Gbpsを実現するWi-Fi 6(Gig+)機能を統合する。
Ice Lake PCHにはFIVR(Fully Integrated Voltage Regulators、完全統合型電圧調整機能)を統合し、基板からの電力供給をチップ内で変換し、PCHのみならずCPUへ、よりきめ細かく、かつ高速に電力供給を行えるようになるとともに、基板上にPCHとCPU用のVRMを搭載する必要がなくなることで、よりコンパクトなシステムを実現できるようになる。
Intelはまた、第10世代Coreプロセッサを搭載するノートPCでは、新しいユーザー体験を実現しようとしている。「Project Athena」と呼ばれる同計画には、現在、1.0規格が策定され、ノートPCメーカーのみならず、コントローラベンダーなど100社以上が参画。パフォーマンスや応答性の改善、Wi-Fi 6などのより高速なネットワーク機能のサポート、AI対応、バッテリー駆動時間の延長(オール・デイ・バッテリー・ライフ)、インスタントアクションへの対応、そして新しいフォームファクターの投入などが計画されている。このProject Athena 1.0対応ノートPCは、2019年末に主要メーカーから市場投入される予定だ。
Project Atena 1.0が実現する新しいPC体験とは、1.5kg以下の本体重量を実現することにより、さらなる持ち運びやすさとともに、Webブラウジングやオフィスソフトの利用であれば、9時間以上のバッテリー駆動を実現、起動後数秒でネットワーク接続の完了などが求められる(OEMベンダーによれば、1.0規格では起動後2秒以内のネットワーク接続確立が求められているのだという)。
さらに、Ice Lakeで強化されるAI機能を生かし、カフェなど周囲の騒音が大きなところでビデオ通話などのリクエストがあった場合は、ノイズキャンセリング機能を自動的に有効にするなど、かゆいところに手が届くような快適なユーザー体験を実現できるのだという。
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