続いて、利用する人数が一人なのか、あるいは家族など複数の人で共有するのか、利用人数の違いにおける向き不向きを見ていこう。
利用するのが自分だけの場合は、製品選びにおける制限はあまりない。Echoファミリーは「この機種でしか使えない」という機能は多くないので(詳細は後述)、先に述べた距離の問題さえクリアーしていれば、どの機種を買っても、思っていた使い方ができなかったという失敗はまずないだろう。
一方、家族で共有する場合は、どんなニーズにも対応できるよう、基本性能が高いモデルが望ましい。例えば音楽再生にあまり興味がない場合でも、家族の何人かで使うとなると、一人くらいは音楽再生を使う人がいてもおかしくない。となると、基本性能の高さに加えて音質も良好なEchoやEcho Plusを選んでおけば、誰が使っても満足度は高いはずだ。
ただし、家族の中にこの種のデバイスにあまり詳しくない人いて分かりやすさを優先するならば、音声でしか答えが返ってこないモデルではなく、ディスプレイ搭載モデルを選んだ方が、情報が目で見える分、戸惑いも少なそうだ。その場合、画面サイズが2.5型と小さいEcho Spotや5.5型のEcho Show 5ではなく、視認性に優れた10.1型のEcho Showで決まりだろう。
現在、スマートスピーカーを選ぶにあたっては、画面付きのモデルを選ぶのか、それとも画面のないスピーカー型のモデルにするのかが、1つのポイントとなりつつある。画面付き一択で、その中から絞り込んでいくという選び方も当然ありだろう。
画面付きスピーカーの利点は、何といっても分かりやすさだ。音声だけでは伝わりにくい情報でも、画面上であれば分かることもあるし、また天気予報などで、週間天気予報をまとめて見るような場合にも向いている。静止画に限らず動画の表示ができることや、ビデオ通話ができるのもメリットだ。
しかし、現在の画面付きモデルのラインアップでは、Echo Showは10.1型ということで、小型のノートPCほどの設置スペースを必要とする上、2万円台後半とコストもかなり高い。コンパクトさを優先するならばEcho SpotやEcho Show 5があるが、こちらはディスプレイのサイズも小さく、身近に置いて使うパーソナルユース向けだ。本来あるべき7〜8型クラスの製品が欠けている点には、注意する必要がある。
これ以外の候補としては、Fireタブレット(Showモード)という選択肢がある。Fire HD 10の「Showモード」を有効にすることで、画面付きスマートスピーカーとして使えるが、Echo Showなどの専用機に比べるとマイクの性能があまり高くなく、デスク周りやベッドサイドに置いて使うのが大前提となる。
元がタブレットなので、スマートスピーカーとして使ってみたもののいまいち合わなかった場合に潰しがきくのは利点だが、むしろ最初の1台というよりも、スマートスピーカーを理解した上で、身近に置くためにもう1台ほしいという追加ニーズの方が、フィットしている印象だ。
単純にコストだけを優先するならば、最も価格が安い製品、つまり5980円のEcho Dot一択という結論になる。セールで5千円を切ることも多いので、ひとまず試してみたいというニーズには適している。特に家族で使う場合は、その後台数が増えた時に、壁掛けにして台所などの共有スペースに設置できるなど、何かと潰しがきくのもよい。
もう1つ、価格優先で選ぶ時に選択肢に入れておきたいのが、スピーカーなしモデルであるEcho Inputだ。接続可能なスピーカーが手元で余っているならば、最も安価に、音声でのやり取りを行う環境を構築できるだろう。ただし本体から音を出すギミックがないため、万一接続がうまく行かず、スピーカーから音が出ない場合など、トラブルシューティングではやや難儀することもある。
これとは別の考え方で、Fireタブレットに付属するShowモードを試してみて、ひとまずニーズを探るという考え方もある。6月発売のFire 7は、4980円というリーズナブルな価格ながら、スタンドに立てた状態にしておけば、Echoファミリーとほぼ同様に使えるのが強みだ。
ただし前述のように、マイク性能があまり高くなく、本格的に使うのであれば、やはり専用機を買った方が、ニーズの判断はしやすい。例え方が適切かは分からないが、旅行用の携帯アイロンを日常で本格的に使おうとするのと同じで、一通りのことはできても、使い勝手(この場合はマイク性能)にやや難がある。あらかじめタブレットの購入を決めているのであれば、試してみてもよいかもしれない。
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