設定が完了すると、スマホアプリを使って家電製品の操作が可能になる。具体的には、アプリを起動すると家電製品が表示されるので、対象の製品をタップしてリモコン画面を開き、そこで操作を行う。
使ってみて気になったのは、各家電製品のコントローラーが、各家電製品の一般的なリモコンのデザインとかけ離れた、ドーナツ型のUIであることだ。外周の円の上にあるボタンを回転させて押しやすい位置で押せるという触れ込みだが、ボタンはどこに置かれているかによってその役割を覚えるものだと個人的に思うので、ピントがずれているように感じる。
また実際に試してみても、決して使いやすいとは思わない。このUIは、カテゴリーによっては一般的なデザインに切り替えることもできるので、そちらを使ったほうがよいだろう。
さて、実際に使ってみて感じる本製品の大きな利点は、レスポンスが高速なことだ。
スマートスピーカーと連携するタイプのスマートリモコンは、クラウド上で信号を処理しているため、反応が返ってくるまでにタイムラグが生じがちだ。特にサーバが海外に置かれている製品はそれが顕著で、反応しないと思って2度、3度とタップすると、しばらく経ってまとめて反応することがあり、使っていてストレスがたまる。
しかし本製品はクラウド上で信号を処理しているわけではないので、スマホ上でボタンをタップすると、遅延もなく瞬時に反応する。なかなか快適だ。
またクラウドと連携していないということは、インターネットに接続していなくても操作できることを意味する。一般的なスマートリモコンは、インターネット回線にトラブルがあって切断されると、クラウドと分断されるため、何の操作も受け付けなくなってしまう。
しかし本製品は、Bluetoothをオンにしていれば、インターネット接続環境がなくても、そのまま操作できる。普段は特に気にはならないだろうが、トラブル発生時には、メリットに感じることもありそうだ。
その一方、クラウドと連携するスマートリモコンのように、外出先からの操作には対応しない。つまり、帰宅前に外出先からエアコンのスイッチを入れておくといった使い方は不可能だ。同じスマートリモコンといっても、このあたりの特性はかなり異なる。
その他の機能についてもチェックしておこう。
本製品は1度の操作で複数の家電製品を束ねてコントロールできる「シーン設定」に対応している。これを使えば外出先からの帰宅時に、各部屋の照明をオンにし、エアコンを動作させ、さらにTVもつけるといった操作がワンアクションで行える。個々の家電製品のリモコンを使っていては絶対にできない、スマートリモコンならではのワザだ。
また、これに加えて本製品はオートメーション機能を備えており、スマホが一定距離に近づくと前述のシーン設定を自動実行できるので、玄関を開けて自宅に入った瞬間に上記の家電をまとめて自動的にオンにする、といった設定が可能だ。
この機能、クラウド連携型のスマートリモコンにおける類似機能ではGPSを利用するため、km単位から至近距離まで細かく距離を指定できるのだが、本製品はBluetoothを使っているせいか、距離設定は3段階からしか選べない。つまり細かいカスタマイズは不得意なのだが、うまく利用環境と合うのならば、シーン設定と合わせて活用したい機能だ。
ただし、シーン設定の対象となるのは、本製品に登録済みの家電製品だけだ。これがスマートスピーカーであれば、スマートリモコンに登録されている家電製品に加え、Philipsのスマート照明「Hue」のような、スマートリモコン不要で動作するスマート家電も一括操作できるし、スマートスピーカー自身による天気やニュースの読み上げも同時に実行できる。
そのため、本製品で初めてスマートリモコンに触れた人が、その便利さを体験するにはうってつけだが、これまでスマートスピーカーで同様の設定を行ったことがある人にとっては物足りないだろうし、また今後新たにスマート家電が自宅にやってきた場合、本製品ではカバーできない可能性はある。
ちなみに、本製品は外部サービスの「IFTTT」(IF This Then That)を使うことで、制限はあるものの、スマートスピーカーから音声で操作することも可能だ。今回は具体的な設定までは試していないが、IFTTTの中に「AICO」もきちんと存在しているので、本製品に登録している家電製品を音声でコントロール(Amazon EchoやGoogle Assistant対応)したければ、アプレットの作成から試してみるとよいだろう。
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