7月7日に販売が解禁されたAMDの新CPU第3世代Ryzenは、プラットフォームが大きく刷新されているのがトピックだ。第3世代Ryzenと、同時に発表されたAMD X570チップセットは、PCI Express 4.0をサポート。これはIntelプラットフォームではまだ導入されていない大きな進化だ。
PCI Express 4.0では、信号速度がPCI Express 3.0の2倍(毎秒16GT)になり、1レーン片方向あたりのデータ帯域も従来の2倍となる毎秒約1.97GBに上昇している。
特に影響を受けるのがSSDだ。M.2フォームファクターのPCI Expressは、通常4レーンが使われるが、従来の標準であるPCI Express 3.0 x4(理論帯域は毎秒約3.94GB)ではすでに帯域がボトルネックになる兆候がみられていた。
これがPCI Express 4.0x4(同毎秒7.88GB)となったことで上限が一気に開放された。早速、CFD販売やGIGABYTEなどから、シーケンシャルリードが毎秒5000MB超えをうたう対応SSDが発表されている。
X570チップセットを搭載したマザーボードは各社の最新の主力製品だけに、PCI Express 4.0以外の見どころも多く、最新の技術トレンドを大きく反映したものとなっている。ここでは、そうしたトレンドに注目しながら、ASRockのX570マザーボードの新製品発表会で紹介された技術や製品を見ていこう。
第3世代Ryzenは、最大16コア32スレッド(Ryzen 9 3950X)にも到達する。7nmプロセスルールの導入で電力効率が上昇しているとはいえ、マザーボードの電源回路(VRM)への負担は大きい。
各社ともVRMを中心としたマザーボードの高耐久設計に力をいれている。高耐久設計の目安の1つがVRMのフェーズ数だが、単純にフェーズ数が多ければ良いというものでもない。VRMを構成するMOSFET(スイッチング素子)やコンデンサ(キャパシタ)、チョークコイル(インダクタ)などの特性、品質によって変わってくる。
ASRockでは、DrMOSや大電流対応のチョークコイル、ニチコン製1.2万時間ブラックキャパシタなどの高級部品を積極的に採用している。フェーズ数は最大14フェーズだが「部品の特性が良いため14フェーズでも2000W級のCPUに対応できる。これ以上増やす必要がなかった」(ASRock 原口氏)という。
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