みんなが信じてくれたから、今がある――独立から5周年 VAIOは次のステージへ

» 2019年07月10日 07時00分 公開
[井上翔,ITmedia]

 既報の通り、VAIOは7月9日に新型モバイルノートPC「VAIO SX12」を発表した。企業としてのVAIOの創立5周年を記念するモデルでもあり、同社のコーポレートカラーをまとった「勝色特別仕様」も用意される。

 今から5年前の2014年7月1日、同社はソニーのPC事業をスピンオフ(会社分割)して発足した。それと同日に発売されたのは、ソニーロゴが無くなった「VAIO Pro 11」「VAIO Pro 13」と「VAIO Fit 15E」だった。

 7月9日に行われた同社の新製品発表会で、吉田秀俊社長がこの5年間の歩みと近況を語った。

勝色特別仕様 VAIOの創立5周年を記念した「VAIO SX12 勝色特別仕様」。同じ特別仕様モデルは「VAIO SX14」にも用意されている
社長 同モデルを手にして撮影に応じる吉田社長

元気な姿を見せられてうれしい

 冒頭、吉田社長は「(VAIOの)元気な姿を皆さまにお披露目できることは大変な光栄なこと」と語った。

 先述の通り、VAIOはソニーのPC事業をスピンオフして設立された企業。ソニーから独立することに対する「不安と葛藤と期待」(吉田社長)を表現した設立当初のメッセージが「自由だ。変えよう。」だ。

 この「自由」には、PC事業にとどまらず可能性を追求していこうという決意も込められていた。ある意味で、それは同社の2本目の柱となったロボットの「EMS(受託生産)事業」として結実している。

 スピンオフが決まった当時、VAIOに対して「PC事業だけでやっていけるのか?」といった不安の声もあった。それから5年。VAIOは立派に“独り立ち”している。

 新たなメッセージである「信じてくれる人と、VAIO」には、5年間を支えてくれた「仲間たち」への感謝が込められている。ファン(ユーザー)はもちろん、取引先や従業員を含む「みんなが信じてくれた結果」、今があるのだ。

メッセージ 独立当初に出されたメッセージ「自由だ。変えよう。」(左)と、5周年を迎えて出されたメッセージ「信じてくれる人と、VAIO」。どちらのメッセージも前向きなものだが、後者からは不安や葛藤が消え去っている

好調なB2B需要 B2Cも元気に

 独立後のVAIOは、法人を含むビジネスユーザー向けのノートPCに注力してきた。そのこともあり、同社のPCの出荷台数のうち、直近では約72%を法人向けモデルが占めているという。それに伴い、キッティングサービスの利用も増えているという。

 法人向け販売が好調である背景には、「Windows 7」のサポート終了はもちろんだが、日本の政府が推進している「働き方改革」によって、VAIOが得意とする「小型で軽量なモバイルノートPCが法人の支持を集め」ていることもある。

法人好調 法人向けのセールスは好調

 だからといって、個人向けモデルを軽視しているわけではない。個人ユーザーからのニーズが多い「Core i7」や「4K(3840×2160ピクセル)ディスプレイ」を選択できるモデルを拡充。カスタマイズモデルでは比較的高い選択率となっている。

 独立に当たり縮小していた海外展開についても、現地のパートナー企業と共に順次拡大。現在では日本を除く17地域でブランドが“復活”している。さらに、展開地域は広げる予定だそうだ。

B2Cも好調 個人向けモデルでは、そのニーズに合致したカスタマイズオプションを用意。販売も好調だという

「珠玉の逸品」VAIO SX12でラインアップ完成

 約1年前、吉田社長は開発陣に「(VAIOの)5周年記念モデルを作ろう」と声をかけ、「日本のPCメーカーのプライドにかけて、安曇野(VAIOの開発拠点)の知恵を集めて、『珠玉の逸品』と呼べる製品にしてほしい」と要望した。

 その結果、「珠玉の逸品」として世に出てきたのが、VAIO SX12。11型クラスのボディーの中に、12.6型液晶ディスプレイとフルサイズキーボードを収めた意欲作だ。

 これにより、ノートPCとしてのVAIOの布陣は“完成”。あらゆるビジネスニーズに対応できるようになった。

新ラインアップ VAIOの新ラインアップ。VAIO SX12(とその法人向けモデルの「VAIO Pro PJ」)の登場により“完成”したという

 会社設立から5年を迎えたVAIO。2018年度の決算はまだ公表されていないが、増収増益かつ過去最高の利益を計上できる見通しだという。

 PC事業とEMS事業の2本柱が好調なVAIOだが、今の所、株式の上場は検討されていない。PCのラインアップについても、先述の通りSX12の登場で“完成”したという見解で、新機軸のモデルが登場することは当面なさそうだ。

 ソニー時代のVAIOを知っていると「好調だからこそ、あの頃の奇抜なVAIOを……」と思う反面、「堅実なラインアップにしているからこそ元気いっぱいでいられる」ことも事実。

 VAIOの「次の5年」は、どんな5年になるのだろうか。未来が楽しみだ。

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