AMDの次世代GPU「Radeon RX 5700」シリーズはNVIDIA陣営にくさびを打ち込めたのか夏の自作特集(2/4 ページ)

» 2019年07月11日 09時45分 公開
[石川ひさよしITmedia]

電力効率は良好、ミドルレンジではまずまずの性能!?

 Radeon RX 5700シリーズは、主に2560×1440ピクセルでのゲーム体験を想定したGPUだ。そこでテストもこの解像度を中心に行った。GPUのグレードとしては、ミドルレンジに相当する。比較対象としては、直近でGeForce RTX 20シリーズを計測しているので、これと比較をしよう。

 また、PCIe Gen4については、AMD X570環境でしか試せない。そのため、今回はCore i9-9900K+Intel Z390環境とRyzen 7 3700X+AMD X570環境の2つを試してみた。Ryzen 7 3700Xを選んでいるのは、事前の第3世代Ryzenとの比較でRyzen 9 3900Xとの間で3Dに関する明確な差が見られなかったことと、最上位のRyzen 9 3950Xを9月に控えた現在、Ryzen 7 3700Xの方が魅力的といえることもある。また、どちらも8コア16スレッドなので環境を統一できるメリットもある。

今回のテスト環境
CPU AMD Ryzen 7 3700X(3.6GHz〜4.4GHz) Intel Core i9-9900K(3.6GHz〜5.0GHz)
マザーボード ASRock X570 Taichi GIGABYTE Z390 Elite
メモリ G.Skill Trident Z Royal F4-3600C16D-16GTRG(DDR4-3200使用)8GB×2 Kingston HyperX Predator DDR4 RGB HX429C15PB3AK4/32(DDR4-2666使用)8GB×2
グラフィックスカード Radeon RX 5900 XT/5900、GeForce RTX 2080/2070 SUPER/2070/2060 SUPER/2060
システムSSD Intel Optana SSD 800p SSDPEK1W120GA01(Optane NVMe 118GB)
データSSD WesternDigital WD Black NVMe SSD WDS100T2X0C SSD1TB(3D TLC NVMe 1TB)
CPUクーラー Corsair Hydro H100i RGB Platinum 240mm
電源 Corsair HX1000i(80PLUS Platinum 1000W)
冷却ファン 14cm角ファン1基(VRM用)
OS Windows 10 Pro 64bit(1903)

 まずはIntel環境の結果から紹介しよう。

 3DMarkは、DirectX 11のFire StrikeとDirectX 12のTime Spyを計測している。2つのAPIで結果の傾向に違いが出た。まず、Fire Strikeでは、Radeon RX 5700 XTはおよそGeForce RTX 2070 SUPERに近い値だ。Radeon RX 5700はGeForce RTX 2060 SUPERあたりといえるだろう。しかし、Time Spyになると、Radeon RX 5700 XTはGeForce RTX 2060 SUPERあたり、Radeon RX 5700はGeForce RTX 2060あたりにまで落ちた。

Radeon RX 5700 3DMarkのスコア

 FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークは、NVIDIAのGPUに最適化されたタイトルだ。Radeon RXにとってはかなし厳しい内容で、Radeon RX 5700 XTはGeForce RTX 2060程度、Radeon RX 5700はそれ以下である。ただ、1920×1080ピクセルに限ればRadeon RX 5700 XT/5700はどちらも快適評価なのでプレイは可能だ。

Radeon RX 5700 FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク(高品質)

 World War ZはAMDのGPUに最適化されたタイトルといえる。こちらではDirectX 11でRadeon RX 5700 XTはGeForce RTX 2070、またはRTX 2070 SUPER相当のフレームレートが得られている。Radeon RX 5700もGeForce RTX 2060 SUPER相当といえるだろう。

 このタイトルはVulkanをサポートしているので、こちらに切り替えるともう少し向上する。4Kに関してはRadeon RX 5700 XT/570に最適化不足が見られるが、2560×1440ピクセルではRadeon RX 5700 XTがGeForce RTX 2070 SUPERを超え、Radeon RX 5700もGeForce RTX 2070を大きく上回った。

Radeon RX 5700 World War Z - DirectX 11 - Ultra
Radeon RX 5700 World War Z - Vulkan - Ultra

 Metro Exodusでは、1920×1080ピクセルと2560×1440ピクセルで傾向が異なった。まず、1920×1080ピクセルのMedium設定では、Radeon RX 5700 XT/5700のみ90fps前後にキャップがあるかのような振る舞いで、フレームレートが伸び悩んでいる。High設定以上あるいは2560×1440ピクセルならば、Radeon RX 5700 XTが概ねGeForce RTX 2070相当、Radeon RX 5700がGeForce RTX 2060 SUPER相当といえそうだ。

Radeon RX 5700 Metro Exodus - 1920×1080ピクセル
Radeon RX 5700 Metro Exodus - 2560×1440ピクセル

 消費電力は、高負荷でのRadeon RX 5700の値がとりわけ低く、性能ではこれまで見てきたようにRadeon RX 2060より上を記録しているので、電力効率を重視する方には朗報かもしれない。一方のRadeon RX 5700 XTはRX 5700と比べて消費電力が大きめだ。

 ただしGeForce RTX 2080を超えることはなく、概ねGeForce RTX 2070 SUPER相当といえる。こちらは性能面でこれらを超えるシーンが少なく、電力効率を犠牲にして性能を引き上げているように見える。

Radeon RX 5700 消費電力のグラフ

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