話題の2つ目は、前回のレポートではやや可能性が低いとした「2画面デバイス」の件だ。
折りたたみ可能な2画面式デバイスの話は本連載でも何度も扱っているので省略するが、何かしらのアナウンスが期待されるという部分で、今回のイベントはやや特別な位置付けが行われているという点に注目したい。
従来、秋のPCハードウェアイベントは比較的小規模にプレス関係者向けの発表会が行われるのが常で、ハードウェア担当の“パノス・パネイ氏オンステージ”といった印象が強い。
だが今回は同社CEOのサティア・ナデラ氏も登壇を予定しており、従来よりも招待枠を広げて幾分か大きなイベントとなることが見込まれ、単純にPCハードウェアの発表にとどまらない、同社のソフトウェアならびに全体戦略を語る場となるのではないかと予想する。2019年の2月にスペインのバルセロナで開催されたHoloLens 2の発表イベントを思い起こしていただけるといいだろう。
2画面デバイスの話に戻すと、The Vergeの記事にもあるように、Surface関連とみられる2画面デバイスのプロトタイプの写真は以前から出回っており、“種まき”ともいえる情報やコードネームは既に出そろいつつある。ハードウェア環境ならびにOSの開発コードネームが出きったところで、「折りたたみ」という部分を想定したAPI実装が話題となっている。
リーク情報などで知られるTwitterアカウントのWalkingCatが紹介しているが、GitHub上のMicrosoftEdgeのMSEdgeExplainersページに記載されている説明文に、マルチディスプレイ環境におけるWebブラウザのUI実装についての説明がある。
サンプルとしてSamsung Galaxy Foldや、画面同士の継ぎ目が“シームレス”ではないものの、ZTE Axon Mのようなマルチディスプレイデバイスの話題に触れており、これをどのようにMicrosoft Edge上で実現していくのかという話だ。
どのようなことが可能になるかはWindows Latestの記事が詳しいが、例えば2画面デバイス上で地図のページを見開くと、片側に地図が表示される一方で、もう片方には店舗検索の結果が一覧表示されたりと、複数画面をうまく使い分けてより多くの情報を分かりやすく表示させる方法だ。
そもそも、Microsoft EdgeがターゲットとしているのがAndroidを含む複数デバイスのため、Windows OSを搭載した専用デバイスを想定したAPIでなくてもいいのだが、こうしたAPIを開発チームがわざわざ提案していること自体、この「2画面デバイス」市場がそれなりの大きさになることを見込んでいるのだろう。サードパーティーの協力を経て大きなエコシステムを目指していくのか、あるいはMicrosoft自身が先兵となって市場を開拓していくのかは分からないが、外堀は埋まりつつある印象だ。
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