さて、本製品を詳しく知るためには、どんなことができるかよりも、むしろ一般的なモバイル液晶ディスプレイと比べて何ができないか、どんな機能が省かれているかをチェックするのが手っ取り早い。前述のHDMI非対応以外に、何があるかを見ていこう。
1つはタッチパネルだ。最近のモバイルディスプレイはタッチに対応した製品も多く、ノートPC本体のディスプレイがタッチ非対応でも、ブラウジングや表計算ソフトのスクロールで便利に使えることをアピールする製品もある。しかし本製品はタッチ非対応なので、そうした使い方は不可能だ。
もっとも、モバイルディスプレイにそうした機能は特に求めておらず、コストダウンにつながるのなら積極的に省いてもらって構わないユーザーも多いはずだ(筆者もその1人である)。タッチ対応だと、信号の伝送のためにPCとの接続方法が複雑になることも多いので(Type-Cではそのような問題はないが)、そうした意味でもシンプルでよい。
音声系の機能が省かれているのも、知っておいた方がよいポイントだ。具体的には、スピーカーを内蔵せず、イヤフォンジャックもない。積極的に必要とするユーザーはあまりいないだろうが、他製品と比較する際には、違いとして押さえておきたいポイントではある。
また、縦向きでの利用にも対応していない。市販のスタンドなどを使って強制的に縦に立て掛け、PC側で画面を90度回転させてやれば使えなくはないのだが、背面の中央付近に傾斜があるため、かなり不安定になる。VESAマウント用の穴もないので、ディスプレイアームへの装着もできない。縦向きは実用的ではないと見なした方がよさそうだ。
また、傾きの調整は15度と35度の2段階ということでそこそこの自由度があるが、上下の高さ調節機能はないので、ノートPCと高さが合わない場合は、本製品の下に何らかの台を置くなど、自前で高さを調整することになる。こうした調整回りのギミックは、競合製品に比べてあまり充実している方ではない。
以上のように、機能を割り切ってバッサリと削ってはいるものの、メインとなる表示回りの機能については押さえるべきところをしっかりと押さえており、これでいて2万円ちょっとで手に入るのはお得感が高い。まず売価を決め、そこから逆算して機能を取捨選択していった結果、この仕様になったのではないかと思われる。
仮に、機能を割り切る方向性を間違えて、インタフェースがHDMIだったりすると、さすがに製品として古い印象は否めないが、本製品はしっかりと最新規格のUSB Type-Cに対応しており、ノートPCとケーブル1本で接続できる。これならばある程度長く使えるはずで、今買って損はしないだろう。3年保証(パネルとバックライトは1年)がついているのも心強い。
この価格であれば、ノートPCのカスタマイズを行うときに、オプションを1つ新たにつけるかつけないかという気軽さで、購入できてしまう。個人はもちろん法人での一括導入にも適したプライスで、これまで価格がネックで導入に至っていなかったユーザーにとっては、注目すべき製品と言えそうだ。
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