マウスのDAIVとUSBアダプターで10GbE環境を構築――もう1ギガビットには戻れない写真や動画などの大容量データをスムーズに(4/4 ページ)

» 2020年01月20日 12時12分 公開
[石川ひさよしITmedia]
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 機材の都合もあり、今回はF5-422に2台のHDD(WD Red WD80EFZX)と4台のSATA SSD(Seagate Nytro XF1230 SSD)を使って試してみた。理想を言えば5ベイ全てにSATA SSDを装備して、単体性能で10Gbps以上の転送速度を出せば10GbEのフル帯域を実現できるが、容量と費用の両面で現時点ではお勧めしにくい。HDDを2台搭載しただけでもストライピング(RAID 0)なら毎秒125MB超は余裕であり、あるいは4〜5台搭載した場合なら冗長性を持たせたRAID 5でも毎秒125MB超えは可能だ。今現実的な構成で、10GbEのメリットがあるのかを調べよう。

10GbE Thunderbolt 3端子にThunderbolt 3対応機器を接続すると、Thunderboltソフトウェアが起動する
10GbE 認識されれば10GbE用ドライバも自動的にインターネットからダウンロードて導入、認識される。TN9710PはTehuti Networks製チップだった

コスト次第でもっと上も目指せるが現実的なところでも効果あり

 では、RAID 0運用のF5-422 NASに対しネットワークドライブを割り当て、TB310Gを接続したDAIV-NG5810M1-M2S5からCrystalDiskMark 6.0.2を実行して転送速度を検証した。ただし、スイッチを介さずIPを固定した直結で検証していることを特記しておく。

 まず、比較対象として1GbE接続時を見ていくと、シーケンシャルリードは118.5MB/s、同ライトは118.3MB/sだ。毎秒118MB前後というのは1000Base-T接続時の実効値の最大と言えるあたりだろう。

 そして10GbE接続に切り替えたところ、シーケンシャルリードは毎秒241.9MBへ、同ライトは毎秒215.4MBへ向上した。これだけで、同じファイルを転送するのに要する時間をほぼ半分まで短縮できることを意味している。

 また、リード/ライトで数値が大きく異なるように、これは10GbEの帯域上限には達していない。この場合のボトルネックはNASおよびそれに搭載したHDDとその構成の性能ということになる。こちらは比較的簡単に改善できる。HDDを増やしたり、SSDに換装したりすればいい。

10GbE10GbE 左が1GbE接続時、右が10GbE接続時のCrystalDiskMark 6.0.2の結果(HDDの場合)

 続いてSATA SSDにした結果が下記の通りだ。SSDにすると、HDD以上に10GbEの効果が大きいのが分かる。

 コストや容量よりも速度と言うならば、数GBのファイル転送を日常的に行っているなら、SSDだけのNASを構築するのが効果的だ。SSDなら数台ですぐに10GbEの帯域上限に達すると思われるが、それで得られる速度は飛躍的に業務を改善する。

10GbE10GbE 左が1GbE接続時、右が10GbE接続時のCrystalDiskMark 6.0.2の結果(SSDの場合)
10GbE こちらは実際の動画や静止画ファイルのコピーにかかった時間を比較した(SSDの場合)。やはり、10GbE接続にすると大幅な時間の節約になるのが分かる

10GbE導入を検討すべき時、ノートPCならThunderbolt 3がキモ

 DAIV-NG5810M1-M2S5のようなThunderbolt 3対応ノートPCを用意していくことは、将来の高速インタフェースに対する備えとして有効だ。今回は有線LANの10GbEだったが、これが無線LANでも同様で、Wi-Fi 6以降、さらに高速化して本格的な10Gbps無線の時代が来た場合のアップグレードパスとなるだろう。

 10GbE機器については、今回使用した機器についてはそれなりにまだ高価だし、実際の運用ではスイッチも必要になる。とはいえ、冒頭で触れたように大容量の動画や高画質の写真データを大量に扱っていたり、日常的に数ギガのファイルをファイルサーバで運用していたりする業務では、今回の検証の通り転送時間を短縮し、日々の負担を軽減できる。

 それ以外でも、部門あたりで大量のデータを使っているならば、今後を見据えてThunderbolt 3対応PCや、10GbE対応の周辺機器の導入検討をし始めてもいい頃合いだ。その間に、より安価なモデルが登場し、Thunderbolt 3対応PCの選択肢が増えていくことも考えられる。コストと業務効率改善のメリットをよく考え、よいタイミングが来た時、導入を検討してほしい。

※記事初出時、一部表記に誤りがありました。おわびして訂正いたします(2020年1月21日14時15分)。


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