PCMark 10では、システムドライブのアクセスパターンをトレースする「Quick System Drive Benchmark」、データドライブ向けのテストである「Data Drive Benchmark」の2種類を実行した。
前者は細かいサイズのファイルアクセスが中心で、後者は多数のJPEGファイルをコピーする内容だが、いずれも870 QVOの方が良いスコアが出た。QD1のパフォーマンス強化を裏付ける結果だ。
ファイルコピー(書き込み)時間を比較した。コピーに利用したのはSteamのゲームフォルダーで、67GB、93GB、160GBの3種類を比較した。
データのサイズがSLCバッファを超えると、そこから急に転送速度が落ちて時間がかかるのは870 QVO/860 QVOともに共通だ。両者のコピー時間は誤差程度で、はっきりした差は見えなかった。
今回はHDD(Seagate IronWolf)も比較対象に加えてみたが、容量が少ないうちはHDDに対してはっきりとしたアドバンテージがあるが、160GBのコピーではかなりHDDに迫られている。
単純なファイルコピーでは、SLCバッファ外のQLC NANDの素の性能よりも、HDDの方が高速であることから、ファイルサイズによっては逆転することがある。
870 QVOで160GBのファイルコピー中の様子。最初に高速なのはDRAMキャッシュ(2GB搭載)だろう。その後すぐに510〜530MB/s程度にまで落ち、さらに全体の半分進行したあたりで速度が落ちて150〜160MB/sになった860 QVOに対する870 QVOの強化点は、QD1のランダムアクセスだ。こちらはベンチマークテストでもしっかり出ており、PCMark 10のような実践的なテストも進歩が伺える。
使い込んだ時の性能低下が若干ながら改善され、またIntelligent TurboWriteの耐久性が向上しているという点も合わせて、より魅力的な製品になったといえるだろう。
ただ、QLC NANDフラッシュ搭載SSD特有のクセは先代モデル同様にあり、使う人を選ぶ製品ではある。SLCバッファの容量である78GB(1TBモデルの場合は42GB)よりも大きなデータを書き込みすることが多いユーザーにはお勧めできないが、そのような大きなサイズを扱うことはほとんどないというのであれば問題ない。DRAMレスの安価なTLC NAND搭載SSDなどよりは、よほど快適に使えると思われる。
後は価格競争力がどれだけあるかどうかだろう。SLCバッファーへの依存度が高いだけに、バッファーを最大容量確保するために必要な空き容量(1TBモデルは168GB、2TBモデル以上は288GB)を記録容量から除外して容量単価を計算して、それでも確実に買い得感が残る場合のみ、選択肢としたいところだ。
日本での販売価格は未定だが、USドルベースで公開されている推奨小売価格を基準に見れば、2TBモデル($249.99)以下は現時点での旨味がいまひとつで、4TBモデル($499.99)以上なら選択肢に入る。1台で8TB($899.99)というモデルは現行では870 QVOのみであり、こちらは価格も含めてかなり魅力的に映る。
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