この他、実際に使ってみて感じたことをいくつか書き留めておく。
同種のキーボードの中には、背面がSurfaceシリーズと同じキックスタンド式のため、かなりの奥行きがあり、平らなデスク以外では不安定になりやすい製品がある。前回紹介したロジクールの「RUGGED FOLIO」がその典型例だが、本製品は背面スタンドがケース部と一体化しているので常に安定しており、狭いスペースや膝の上での入力にも向いている。
一方でSmart Keyboard Folioと同じく、キーボードの手前にタッチパッドを搭載せず、パームレストもないため、膝の上に置いた時はかなり窮屈な印象だ。これについては(背後に倒れやすい欠点を差し引いても)Magic Keyboardの方が上だと感じる。
本体を閉じた時、キーボード部とケース部が向かい合って磁力で吸着するギミックはない。上から磁気フリップで留めるので持ち歩き中に外れることはないが、Magic KeyboardやSmart Keyboard Folioのように、パタンと閉じてしまえば意図せず開くことはないという信頼性にはやや及ばない。
本製品は、後述するスケッチモードへの変形ギミックのせいで厚みもかなりあり、iPad Proとの一体感については、やはり純正品にはかなわないイメージがある。質感そのものは、純正品と比べてもなんら遜色ないにもかかわらず、どことなくチープな印象を受けるのは、これが一因だろう。
一方でメリットとして挙げられるのが、本体上部に第2世代Apple Pencilをそのまま吸着させられることだ。本体を閉じた時は、カバー部とキーボード部を吸着させる磁気フリップで巻き込むように固定されるので、持ち歩く際に脱落する心配も少ない。
またスタンドに立てて使うだけでなく、画面をキーボード上に重ねた「スケッチモード」へと変形できるのも特徴だ。カバー部の厚み、および重量とトレードオフになっているのが悩ましいところだが、Magic KeyboardやSmart Keyboard Folioにはないギミックで、Apple Pencilを使うユーザーにとっては出番も多いはずだ。
気になるのは重量だ。単体だと約552g、iPad Pro本体と合わせると実測1027gとかなり重い。Magic Keyboardが実測1064gなので、軽さのアドバンテージはほとんどない。
四隅をがっちりとガードする構造からして、実測763gのSmart Keyboard Folioと並ぶのは難しいにせよ、せめて1kgは超えないでほしかった。ちなみに、12.9インチ用は単体で約707gとさらに重くなる。
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