以上ざっと見てきたが、細かいツッコミどころはあるものの致命的な不具合はなく、全体的には優秀な製品という印象だ。新製品とはいえ、本製品はクラウドファンディングを経由しており、その過程で一般的なガジェットの初期ロットにある不具合の多くが潰されているせいもあるだろう。
特筆すべきは、やはりE Inkの挙動の速さだ。同社がかつて販売していたE Ink搭載のポメラ(DM30)は、タイピングに描画がついてこないという問題を抱えていたが、本製品はキーボードからの入力に非対応なので、結果的にそうしたラグをユーザーに感じさせない仕上がりになっている。
一方で重量や駆動時間など、せっかくのE Inkの利点が失われている箇所は少なからずある。液晶タブレットと比べると「軽い! 長寿命!」となるが、過去に他のE Inkデバイスの利用経験があると、E Inkの長所を一部失ってしまっているようにも見える。
そして最大のネックはやはり価格だろう。ノートデバイスで実売4万円台というのは、汎用(はんよう)性の高いiPad miniなどと比べても大差がないだけにためらってしまう。クラウドファンディングが目標額の10倍を超え、予定以上にコストも回収されているはずで、もう少し頑張れたのではという気がしなくはない(出資者に配慮したのかもしれない)。
ネットで評判を見る限り、価格についてのツッコミがかなりの割合を占める本製品だが、同社製品は数カ月単位で見るとかなり値動きが激しいので、今回は予算の都合で見送るという人も(本稿執筆時点でAmazonは品切れ中という事情も加味しつつ)、価格の推移は当面チェックしておいた方がよさそうだ。
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