先日、パナソニックのタフネスAndroidタブレット「TOUGHBOOK FZ-A3A」をレビューした。10.1型ディスプレイを搭載しながらも重さは900gを切り、“TOUGHBOOKとしては”軽量なおかげで、フィールドワークでも扱いやすい。
今回、連載「海で使うIT」で取り上げるにあたり、FZ-A3Aの舶用機器としての使い勝手が気になるところだ。この記事では、洋上での利用やフィールドワークで役立ちそうな「水滴誤動作防止モード」の使い勝手を確かめてみる。
“しけ”が発生した洋上でタブレット(もしくはスマートフォン)を使うと、波のしぶきを浴びてディスプレイ一面に水滴がついてしまうことがよくある。タブレットが波をかぶって“ずぶぬれ”になることも珍しくない。
洋上でなくても、フィールドワークではタブレットを雨が降りしきる中で扱うこともあるし、屋内であっても湿度が極端に高い場所で扱うこともある。
いずれにしても、ディスプレイ一面に水滴が付くだけでなく、指先も終始濡れた状態になる。このような状態では、一般的な静電容量検知タイプのタッチパネルだとタップした位置やフリックの軌跡が正しく認識されず、期待通りに操作できないことがある。
これは洋上やフィールドワークといった特殊環境だけではなく、「生活防水」の範囲に入るであろう浴室やキッチンなどでも例外ではない。「防水」をうたうタブレットやスマホでも、水滴が付いたり指がぬれたりしていると、タップやフリック、ピンチといったタッチ操作がうまくできないことが多い。「誤動作」や「誤爆」というストレスを普段の生活の中でため込んでいる人もいるはずだ。
FZ-A3Aのタッチ操作モードには「Normal mode」「手袋操作」「スタイラスペン」「水滴誤動作防止」の4つがある。それぞれのモードの特徴を簡単に紹介しよう。
その名の通り「Normal Mode」はタッチパネルが濡れていない「普通の」状況に最適化したモードだ。ディスプレイの水ぬれや手の湿りのない状況では、このモードで動かせばよい。
「手袋操作」は、厚み約1mmまでの手袋をしたままでも操作ができるモードだ。
フィールドワークでは、ゴムコートで耐久性を向上した手袋や、樹脂コートで耐油性を高めた手袋を使用する場合もある。これらの手袋は着脱が面倒なので、タッチ操作をするためにわざわざ取り外すことは現実的ではない。
このような状況でも、手袋操作モードに設定すれば、タブレットを導入しやすくなるだろう。
「スタイラスペン」は、FZ-A3Aに付属するスタイラスペンでの操作に最適化したモードだ。
このモードに切り替えると、タッチパネルが検知できる接触面積が極小化される。このことで、指や手のひらが触れることによる「誤認識」を抑制し、スタイラスペンで文字を記入したり図などを描き込んだりしやすくできる。
実際にペンをもって何かを書いて(描いて)みると分かるが、ペンを持つ手は常に机や紙に接している。タブレットであれば、その画面に手が触れることになる。
手のひらがもたらす誤認識が減れば、その分だけペンの操作性も向上することは間違いない。
「水滴誤動作防止」は、ディスプレイに水がかかっても正常なタッチ操作を実現するモードだ。ただし限度はあり、パナソニックは「水滴の量や状態によっては誤動作または動作しないことがあります」と説明資料に注意書きを添えている。
問題の“水滴の量や状態”は、タッチ操作モードの「タッチ操作詳細設定」にある「水滴誤動作防止設定」の項目で「多い」「少ない」から選択できるようになっている。なお、詳細設定では、手袋操作モードにおける手袋の厚さ(「厚い」「中」「薄い」)や指の感度(「多」「少」)も指定できる。
このモードがどのくらいの効果を発揮するのかは、この後で実際に検証する。
タッチ操作モードはそれぞれが排他で、4つあるモードから1つ“だけ”を指定できる。そのため、「手袋をはめて雨の中で使いたい」という場合でも、手袋操作か水滴誤動作防止のどちらかを選ばなければならない。
幸いにして、自分が船で使う手袋は指の部分が露出する「指ぬきタイプ」なので、迷うことなく水滴誤動作防止を選択して検証できた。
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