1月28日は、データプライバシーの日だ(Data Privacy Day)。IT業界で最も先導的なプライバシー戦略を打ち出し続けるAppleは、これに合わせてプライバシーとデータ保護への意識を高めるべく、同社のWebサイト(トップページ、プライバシーページ、iOS/iPad OSのページ、Newsroom)を一新した。
さらに、App Storeのストーリーズ(読み物)での情報発信といった意識啓発に向けた情報発信に加え、“A Day in the Life of Your Data”というインターネットで個人のプライバシー情報がどのように扱われているかを紹介する電子冊子(PDF)を配布する(当面は英語のみ)。
また、同社のティム・クックCEOが、1月29日(日本時間金曜日の午前1時15分〜)にベルギーのブリュッセルで開催される「Computers, Privacy, and Data Protection Conference(CPDP)」という会議で講演をして、これらのことについて触れる。
人々がどんなWebサイトを見ているのか、どんなアプリを使って何をしているかといった行動履歴が異なるWebサイトやアプリをまたいで集められ、1人1人のユーザーの性格について5000以上の分析項目からなるプロフィールが作られる。こうした個人情報を売り買いするデータブローカーたちは、あなたを監視したデータを使って毎年2270億ドル(24兆円)の利益をあげている。
これはAppleが今日、まずは英語で配布を開始した電子冊子「A Day in the Life of Your Data」で紹介されている衝撃の事実だ。
多くの人が許可した覚えもないのに、どんなWebページを見たかや、どんな商品を購入したか、どんなアプリを使ったかを監視され、商品にされ、場合によっては人に知られたくない秘密が知れわたる危険にさらされたり、見たくもない広告に追いかけ回されたりする。
このような状況は健全ではない、というのがAppleのスタンスだ。
亡き創業者、スティーブ・ジョブズ氏は2010年、とあるイベントで「人々は賢いと信じています。中には他の人よりも多くのデータを共有したがる人もいるでしょう。彼らに聞いてください。毎回聞いてください。うんざりだ、もう、これ以上、聞かないでくれと言わせてください。そして彼らのデータをいったいどのように使おうとしているのか正確に伝えてあげてください」と語っている。
Appleは、今でもこの精神を守り続け、
という4本柱で、macOS、iOS、iPadOS、tvOSを進化させてきた(関連記事からこれまでの歩みをたどって欲しい)。
最近の取り組みは、12月に行われたApp Storeの仕様変更で、それぞれのアプリがユーザーのどのようなプライバシーデータをのぞき見しているかを、App Storeのアプリページに表示義務づけをするという変更だ。一部のアプリが、あまりにも多くの個人情報を抜き取っていることなどが赤裸々になり、大きな話題を呼んだのが記憶に新しい。
だが、データブローカーの手口はさらに巧妙だ。1つのアプリからあなたの情報を抜き取るだけでなく、異なる会社の複数のアプリや訪れたWebアプリを監視して得た情報をつなぎ合わせ、あなたについてのプロフィールを作っている。何かの商品のWebページを見た後、ソーシャルネットワークアプリなどに、すぐにその商品の広告などが出てくるのはそういった仕組みだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.