プロナビ

Appleが業界最高水準セキュリティの全貌を明らかにApple Platform Security Guide(2/2 ページ)

» 2021年02月19日 05時00分 公開
[林信行ITmedia]
前のページへ 1|2       

プロセッサからハード、OS、アプリやサービスまで1枚岩の設計

 Appleのセキュリティに対するアプローチで、もう1つ他社と大きく異なる点が、プロセッサも含むハードウェア、そしてOSを含むソフトウェア、さらにサービスの全てが一丸となって実現していることだろう。ここはAppleの大きな強みで、他の多くの企業は、そもそも作っているのがプロセッサだけだったり、PCやスマートフォンの本体だけだったり、OSだけだったり、アプリだけだったり、その上で提供するクラウドサービスだけだったりする。

 Appleは特定ハードウェアをベストな製品に仕上げるために、それ専用のプロセッサを作り、それ用のOSを作り、そのためのアプリやサービスを用意しており、これらが一枚岩となって機能する。

 この状態が先に出来上がったのはiPhoneで、iPhoneではプロセッサもいち早くApple独自のものに切り替わり、iPhoneの電源が入って真っ先に動き始めるプロセッサが既にしっかりとOSの起動プロセスなどから他者の侵入を防ぐ安全な設計になっていた。

 これに対して、同じApple製品でも、MacはIntelという他社製の汎用(はんよう)プロセッサを利用していたので、どうしてもセキュリティ部分がiPhoneと比べると弱い部分があった。Appleはそれを補うために、MacではT2プロセッサというセキュリティ機能専用の独自プロセッサを用意。起動時の安全性や、Touch IDの指紋情報の安全な保管、Apple Pay決済の安全性の保証、そしてHDDやSSDに記録された情報を暗号化し、のぞき見を防ぐFileVaultというセキュリティ機能を実現していた。しかし、これでもまだ足りない部分があった。

Apple T2 Intel製CPUではカバーできない領域を担うApple独自の「Apple T2」チップ

 それがM1というApple独自プロセッサ搭載のMacが発表されたことで、これらに加えてData Protection(ファイル1個1個へのアクセス方法を暗号化)、ハードやOSが細工されたものではなく整合性を確認する機能、そしてシステムレベルでのパスワード保護機能といったことが実現可能になり、安全性のレベルが数段上がった形になっている。

 さらに、Appleは自社プラットフォームの安全性を高める環境整備にも投資している。悪さをするようなアプリケーションが混入しないように、アプリを1つ1つ審査してApp Storeで提供するモデルもその一例なら、Apple製品に万が一、セキュリティ上の問題点を発見したら最大150万ドルの懸賞金が支払われるという懸賞金プログラムも実施している。

 懸賞金に関わらず、たまにApple製品の脆弱(ぜいじゃく)性が指摘されることがある。例えばiMessageがゼロクリック・エクスプロイトと呼ばれる、ユーザーが何もしていなくてもスパイウェアに感染する可能性がある脆弱性が指摘されていたが、これも2月にリリースされたiOS 14の最新アップデートで、信頼できないデータを保管するBlastDoorと呼ばれる隔離部屋のような機能を用意し解決している。

Apple T2 最も重要なセキュリティ基盤となる「Secure Enclaveコプロセッサ」の概要。保存されたデータの暗号化やmacOSのセキュアブート、生体認証の基盤となる

 200ページ近いApple Platform Securityの冊子では、同社が用意した安全性に配慮するための技術をハードウェア、システム(起動の仕組みなど)、データなどの暗号化、アプリの安全性、サービスの安全性、ネットワーク接続の安全性、開発環境の安全性、機器連携の安全性といった8つの視点で詳説している。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年06月11日 更新
  1. 初のカラー対応「Kindle Scribe Colorsoft」の実力は? 通常モデルとの価格差1万7000円の価値を検証 (2026年06月10日)
  2. ミニPCに強みの「MINISFORUM」 ミニワークステーションの新モデルから「謎の拡張カード」まで多彩な製品を披露 (2026年06月10日)
  3. 「Geminiの技術は使うが、Geminiではない」 WWDC26で見えたApple流AIとプライバシー戦略の核心 (2026年06月10日)
  4. 「macOS 27 Golden Gate」が2026年秋に登場 初のApple Silicon専用バージョンに (2026年06月09日)
  5. 「次世代Apple Intelligence」をフル活用するにはどのような条件がある? 「Siri AI」は日本で使える? 知っておくべき対応モデルのハードル (2026年06月09日)
  6. コンパクトボディーにスパコン並みのAI性能! 「NVIDIA RTX Spark」搭載ミニデスクトップPCを見てきた (2026年06月04日)
  7. 夜間もフルカラーで鮮明に記録できる「SwitchBot 屋外パンチルトカメラ 5MP」が15%オフの7674円に (2026年06月10日)
  8. 実売1万円切りでパススルー給電にも対応! KTCの15.6型モバイルディスプレイ「H15F9」は“買い”か (2026年06月09日)
  9. 縦に三つ折りする「Ewin 折りたたみ式ワイヤレスキーボード」がタイムセールで12%オフの4820円に (2026年06月10日)
  10. LGが4K有機EL TVの2026年モデルを発表 映像プロセッサを刷新し120Hz以上の高速表示にも対応 (2026年06月09日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー