Wi-Fi EasyMeshは、Wi-Fi Allianceが策定した汎用(はんよう)メッシュWi-Fi規格だ。汎用であることが、従来抱えていたメッシュWi-Fiの課題を解決する可能性がある。
バッファロー 今回、私たちのWi-Fi 6対応ルーターと中継機をWi-Fi Allianceの「Wi-Fi EasyMesh」に対応させることにしました。
Wi-Fi EasyMeshを使うと、機器のメーカーの垣根を越えてカバーエリアを広げることができます。これから購入するWi-Fiルーターが対応していれば、「エリアを広げたい」「通信品質を改善したい」と思ったときにEasyMesh対応のルーターや中継機を買い増すだけで対応できます。専用品を買う必要がないのです。
他社でも、Wi-Fi EasyMeshに対応する製品は出てきています。弊社も今回、既存製品を含むWi-Fi 6対応ルーターや中継機で利用できるようにします。エントリーモデルからフラグシップモデルまで、用途や予算に合わせて選べることがメリットです。
私たちとしては「ぜひAirStationを!」と言いたい所ではありますが、現在はそれ以上にEasyMeshを通して「つながりやすい」環境を整備しやすくることの方が重要だと考えています。
自宅でのインターネット利用環境が変わった今、バッファローは単純なWi-Fi中継機を多く販売するよりも、長期的視点からメッシュWi-Fi(Wi-Fi EasyMesh)に対応する機器を普及させることの方が重要であると判断したということだ。
バッファローがWi-Fi EasyMeshへの対応を加速したのは、同規格の「Release 2」がリリースされたこともきっかけとなっている。
バッファロー Wi-Fi EasyMeshにも世代があります。今回、弊社のAirStationで対応を進めるのは最新の「Release 2」です。
Release 2では、オプション対応ではありますが、無線LANの高速ローミングを実現する「IEEE 802.11r」を利用できます。高速ローミングを利用すると、メッシュでカバーされたエリアの行き来の際、より電波の強い方にスムーズにつなぎ直してくれます。家の1階から2階へ移動した際に「1階の電波をつかみ続けてしまい、スループット(実効通信速度)が下がってしまう」といったことを防げます。
これなら、従来の独自規格によるメッシュWi-Fiと同等かそれ以上の「つながりやすさ」をメリットして提供できます。EasyMeshに対応するAirStatonでは、この高速ローミングを含めてRelease 2に完全対応します。
私事になるが、筆者の自宅は構造の都合からWi-Fiルーターの設置場所が限られる。そのため、ルーターから離れた場所の電波状況が良くない。中継機などがなければ、端末によっては「圏外」になってしまうこともある。
そこで使い古したWi-Fiルーターを中継機代わりにしてカバーエリアを広げているのだが、部屋の行き来をするとPCやスマートフォンがつながるアクセスポイントをうまく切り替えられないことがある。結局、いったん端末のWi-Fiをオフにして再びオンにしてつなぎ替えるということをしている。サッとできることではあるものの、頻度が多くなると知らず知らずのうちに心理的なストレスがたまっていく。ひと言でいえば“面倒”だ。
ユーザーにストレスなく広いエリアで使ってもらいたい――そのような考えのもと、バッファローはWi-Fi EasyMeshへの対応を進めたようである。
ただし、高速ローミングを利用するには端末(クライアント機器)側にも対応が求められる。ただし、比較的最近のハイエンドスマートフォンなら、そこまで心配する必要はないという。
バッファロー Wi-Fi EasyMesh Release 2でオプション提供される高速ローミングですが、ルーターや中継機だけではなく端末側も対応することで初めて利用できます。しかし「IEEE 802.11rに対応している」という情報を出している端末メーカーさんは、ほとんどありません。
弊社の独自の検証結果ではありますが、iPhone 8 Plus以降のiPhoneは対応していることを確認済みです。また、ハイエンドのAndroidスマートフォンでも、対応している機種は多いです。
多くのユーザーがWi-Fiに繋いで使いたいであろう機器はスマホでしょう。人気のスマホが高速ローミングに対応した今だからこそ、つながりやすさを体感してもらいやすいということで、メッシュに対応する製品を一気に増やすことにしたという背景もあります。
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