新ハードや新サービスには真っ先に飛び付くべきか メリットとデメリットを考える牧ノブユキの「ワークアラウンド」(2/2 ページ)

» 2021年06月29日 16時00分 公開
[牧ノブユキITmedia]
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新しいハードウェアは時期をずらしてから手を出すのが無難?

 一方で、これがハードウェアになると、真っ先に飛び付くのが必ずしもよいとは限らない。初期ロットは品質が安定していない場合がみられ、製品を試すのが早い時期であればあるほど、初期不良などのトラブルに遭遇しがちだ。散々な思いをした揚げ句、製品が回収になったり、あるいは短いスパンで後継製品が出てがっかりしたり、という話を耳にすることも少なくない。いわゆる「人柱」という状態である。

 何よりハードウェアは不具合が発生しても、購入者に対して通常できる対応はソフトウェアのアップデートでカバーできる範囲に限られる。それでは太刀打ちできないハードウェア側のトラブルは、交換もしくは返金対応という手段しかなく、また正常に動作する交換品が用意されるとは限らない。用意されるにしても、数カ月待たされた揚げ句、問題が解消せずうやむやになることもある。

 また仮にそれらがスムーズに行った場合でも、物理的に入れ替える手間もかかる上、使えなくなる期間の代替機が用意されるわけでもない。オンラインサービスであれば、おわびに加えて特典が付き、最終的にトクをした、となることも多いが、ハードウェアだとおわびに性能をアップするといった措置も取れない。最終的に、被った迷惑に対してプラマイゼロになれば御の字といったところだ。

 それでも急いで買う理由があるとすれば、使っていた製品の寿命や故障により直ちに買い替えが必要な場合や、新製品なら作業の効率が大きく上がる(トラブルなく動作すれば時短になる)、従来製品にはなかった新機能で積年の課題が解決できる、といった先行して使い始めることに明確なメリットを見いだせる場合だろう。

 人によっては、真っ先に買って周囲に見せびらかしたい、YouTubeやブログ、SNSなどで紹介して注目を集めたい、特定のジャンルあるいはメーカーのコアなファンでいるためにトレンドを追い続けたい、という場合もあるかもしれない。

 こうした理由がなければ、新しいハードウェアには真っ先に飛び付かず、少し時期をずらしてから手を出した方が無難ではあるだろう。

様子見されるのはメーカーにとって死活問題

 以上をまとめると、概してオンラインサービスは試すのが早ければ早いほどメリットがあり、時間がたつにつれてそれらが失われていくのに対して、ハードウェアは試すのが早すぎるとリスクも高くなりがちだ。

 ただしハードウェアの場合、様子見をすることで、次のロットまで何週間はおろか何カ月といったスパンで待たされることもある。これはオンラインサービスにはない、モノが存在するが故のリスクだ。様子見をしているうちに人気が急上昇して、本気で欲しくなったときには在庫がなく、入荷の見通しもたたず、購入できるのは転売らしき高額な出品のみ、といった状況に陥りかねない。

 またメーカーにとっては、早いタイミングでユーザーが食いついてくれないと、キャッシュフローが苦しくなり、次のロットが発注できなくなるだけでなく、後継製品の開発がストップし、そのまま終息してしまう恐れがある。ハードウェアは発表時点が注目度のピークであり、それ以降はどれだけキャンペーンを行ってもそれ以上の盛り上がりを作り出すのが難しいので、なおさらだ。

 このように、ユーザーにとっては発売直後に手を出す必要性が高くなくとも、メーカーにとっては様子見が死活問題というのがシビアなところだ。何はなくとも新製品に飛び付いてくれる熱心なファン、また仕入れを発生させてキャッシュフローを潤してくれる販売店が、メーカーにとっては文字通りの命綱であり、そうしたバックボーンがないメーカーが近年クラウドファンディングに頼りがちなのも、実によく理解できる動きといえる。

著者:牧ノブユキ(Nobuyuki Maki)

IT機器メーカー、販売店勤務を経てコンサルへ。Googleトレンドを眺めていると1日が終わるのがもっぱらの悩み。無類のチョコミント好き。HPはこちら


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