ここから本題だが、Windows 11では「SAC」が廃止され、実質的に大型アップデート(機能アップデート)の提供は年1回、具体的にはその年の後半に提供が行われるのみとなる。
もともとSACでも「年2回は多過ぎる」という批判が企業ユーザーからはあり、特定のアップデートについてサポートが継続適用される猶予期間が18〜30カ月と広めに設定されていたのもこうした理由による。
今回のWindows 11リリースでSACが廃止されることにともない、この猶予期間は24カ月(2年間)に統一される。企業ユーザーのWindows 11のアップグレードはWindows Server Update Service(WSUS)などを通じて従来通りのServicing Channelで可能になっており、ターゲットとなるPC群が実際にアップグレード要件を満たしているかを含め、事前にチェックが行える。
なおWindows 10を利用する一般ユーザーの場合、Windows 11が利用可能になったタイミングでWindows Updateにその旨の通知が行われ、自らの意思でアップグレードを決定できる(Microsoftは「Seeker Experience」と呼んでいる)。
いろいろと物議を醸した「PC正常性チェック(PC Health Check)」だが、基本的にここで弾かれるPCはWindows 11へのアップグレード要件を満たしていないと判断され、そもそもアップグレードの通知が行われない。ゆえに、少しでもアップグレードの意思がある人は事前にチェックしておいた方がいいだろう。
ただしジョー・フォリー氏によれば、Windows 11の提供はまずプリインストールの形でPCとしてOEMメーカーからの提供が2021年のホリデーシーズンに開始され、既存PC向けの提供は2022年初頭とされている。通例でいえばRTM(Release To Manufacturing)に相当する「General Availability(GA)」は2021年10〜11月ごろになると推定されるため、企業ユーザーなどはこれよりは早いタイミングでの入手が可能だ。
もし一般ユーザーがGAのタイミングで導入したいと考えた場合は手動でツールを使うか、Windows Insider Programで(Windows 11の提供が行われるようになった)Beta ChannelまたはRelease Previewに参加するのが近道だろう。
むしろ問題はこの次で、2022年以降のWindows 10がどのように扱われるのか、Microsoftでは明言していない。同社によれば、2021年後半のタイミングで当初の予告通りWindows 10の「21H2」を提供する予定だ。
ブログの表記では「along with a Windows 10 LTSC edition」とされているが、これは「LTSC 2021」ではなく、既存のサポートが継続されている全てのLTSCバージョンのことを指すと思われる。
前回のIE modeの話題でも触れたように、現在最長のサポート期間が設定されているWindows 10は「LTSC 2019」で、2029年1月9日となっている。おそらく次にリリースされるLTSCはWindows 11ベースになると思われるため、Windows 10は今後8年以内にフェードアウトすることになる。
筆者の推測だが、LTSCではない一般的なWindows 10についても21H2が実質的なラストとなり、以後はメンテナンスモードに移行すると考えている。Microsoftの「メインストリーム5年+延長5年=10年サポート」の考え方でいけば、Windows 10は既に運用7年目に突入しようとしており、本来であればメンテナンスモードに移行していてもおかしくない。今後方針が少し修正される可能性はあるが、古いハードウェアを持つPCとともにWindows 10は間もなく役目を終えることになる。
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