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IE11の終了に向けて知っておくべきことWindowsフロントライン(1/2 ページ)

» 2021年06月07日 11時00分 公開

 先日、「Internet Explorer 11(IE11)」のサポートが2022年6月15日で終了することを紹介したが、そのフォローアップが日本マイクロソフトによって行われたので、ここで改めて情報や必要なリソースについて改めて整理しておきたい。

救済策「IE mode」のサポート時期について

 前回のレポートでも触れたように、IE11のサポート終了は段階的に行われる。順番としては、まずMicrosoft 365でのIE11サポートが2021年8月17日に終了し、2022年6月15日にIE11そのものがサポート終了となる。

 以後、IE11向けのアップデートは基本的に行われないため、ユーザーの推奨環境から外される形で利用が減少していく。IE利用を前提としたWebサイトやサービスなどは、Chromium EdgeやChromeなど他のブラウザ環境をサポートしなければならない。

 注意点としては、2022年6月15日時点で終了となるのは「IE11のデスクトップアプリケーション」であり、LTSC(Long-Term Serving Channel)のOS上で動作するIEや、Windows 10より前のOS(Windows 8.1とWindows 7 ESU)上のIE、そしてDLLからモジュールとして呼び出されるIEコンポーネント(MSHTML)、Microsoft Edge上のIE modeなどは対象外となる。

 Windows 10より前のOSについては間もなく延長サポート期間が終了するため、実質的にWindows 10 LTSC上でサポートされるIEとIE modeを経由した場合のみ、今後もIE専用サイト(またはサービス)の継続利用が可能だ。

 ただし環境としては推奨されないため、できるだけ早期にIE依存から脱却する必要があるといえる。

IE11サポート終了 IE modeがサポートされるのは、最長でWindows 10 2019 LTSCのサポート終了日である2029年1月9日となる

 基本はIE modeを利用することになるが、IE modeがどこまでサポートされるかは、このようにそれが動作するOSのサポート期間によって決定される。前回も触れたように、Windows 10 Home/Proのエディションにおいては「20H2」のバージョンのサポート終了が「2022年5月10日」とIE11のリタイアよりも早いタイミングになっており、基本的に最新バージョンを維持しない限りはIE11のサポートを継続できない。

 Windows 10において期間的に最長となるのが「Windows 10 2019 LTSC」で、これであれば2029年1月9日まではIE modeの利用が保証される。

 興味深いのは、次のようにWindows 10 Home/Pro/Enterprise/Educationの各エディションにおいて、「2025年10月14日までは少なくともサポートを続ける」としている。

 「Windows as a Service(WaaS)」の概念にのっとり、最新バージョンを維持する限りはサポートが継続されるというものだが、ここで示されている2025年10月14日という日付も「最初に当該のOSがリリースされてから最大10年まで延長サポートを提供」という従来のMicrosoftのポリシーに沿ったものとなる。

 つまり、「LTSCでない通常のWindows 10を利用する限り、2025年時点でIE modeが利用できなくなる可能性がある」ことを意味しているが、これについて日本マイクロソフトでは「2025年以降の対応については後の正式アナウンスを待ってほしい」と述べており、現時点では対応は保留となっている。

 いずれにせよ、2029年を待たずしてIE11の環境は利用できなくなる可能性があり、2022年6月15日以降も「救済策がある」と安心しない方がいいかもしれない。

IE11サポート終了 Windows 10 Home/Proでは、SAC(Semi-Annual Channel)において2025年10月14日までのサポートしか現時点では保証されていない
IE11サポート終了 Windows 10 Enterprise/Educationについても現時点では同様の対応だ

IE modeの呼び出しとポリシー制御

 前回のレポートでは「IE modeは(基本的に)イントラ専用」と書いたが、その理由は「IE modeの対象として登録されたサイトでのみ(Microsoft Edgeから)IE modeを起動する」という動作形態による。つまり、単純にMicrosoft Edgeを起動しただけではIE modeは呼び出せず、自らがターゲットとするサイトを管理者が登録しておくことで、Edgeで当該のサイトにアクセスしたときに表示が切り替わる。

 たいていの場合、企業内で利用するサービスやWebサイトなどをターゲットとして一覧をXMLファイルに記述し、これを読み込ませることでEdge上からIE mode起動を有効化する。サイト記述には「Enterprise Mode Site List Manager (schema v.2)」というデスクトップツールが存在するが、今後ツールとしては更新が行われないとされているため、下記のようにブラウザ上から呼び出す形となる。

IE11サポート終了 EdgeブラウザでEnterprise Mode Site List Managerを呼び出す

 管理者サイドとしては、この方法で有象無象にIE modeでのアクセスを拡大されても困るため、必要に応じてチェックを行う。理想としてはテストで対象のサイトでの利用が有効かを確認しつつ、グループポリシーで組織内のPCブラウザのアクセスを制御する形になるだろう。

IE11サポート終了 IE mode有効化前にテストが必要だ

 IE modeでは、過去の互換性問題で移行の障害となっている「ActiveXサポート」や「ドキュメントモードでの動作」がそのまま利用できる。一方で、IEコンポーネントとは無関係なツールバーや、デバッグに利用するF12などの開発者ツールは利用できないため、あくまで過去の資産の互換性維持という観点でのみ用意された機能だという点に注意したい。

IE11サポート終了 IE modeで利用可能な機能

 もう1点重要なのは、可能な限りIE11そのものの起動を抑制させることだ。前回のレポートでも指摘した通り、日本でのIEブラウザのシェアはいまだに大きい。

 モバイルを含むブラウザ全体では3.05%、デスクトップ限定では6.36%となっている日本のIEシェアだが、テレメトリなどで正確なシェアの数字を把握している日本マイクロソフトによれば「具体的な数字は言及できないが、そこで指摘されているデータよりも実際のシェアはさらに大きい」とのことで、おそらく無視できないレベルのユーザーがいまだIEを利用していることが分かる。

 前述のようにIE modeは外向けのサイトで利用するサービスではないため、StatCounterの調査データでは拾い切れていないだけのIEブラウザユーザーが企業内に多数存在していることを意味する。何より、IE11サポート終了に際して日本マイクロソフトが記者を集めて緊急ミーティングを行うほどに切迫した状況にあるということだろう。

IE11サポート終了 グループポリシーでIE11の起動を無効化。管理者はサイトリストを作成してIE modeへの誘導を促す

 続いて、今後の対応を見ていこう。

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