まずは、かつて税金申告システムにおいてIE+ActiveXの組み合わせによるベンダーロックインで苦しめられた韓国のブラウザシェアを見てみる。
モバイル利用の数字が含まれているため、デスクトップ向け専用のブラウザ環境のシェアが低め(約半分程度)に出ているが、IEのシェアが3.52%とそれなりにあることが分かる。Samsung InternetやWhale Browser(Naverが提供するフリーのモバイルブラウザ)といった同国特有のモバイルブラウザのシェアがそれなりにある点にも注目したい。
続いて日本。韓国ほどではないものの、IEのシェアは3.05%ある。Edgeの利用が韓国を含む諸外国に比べて高いのも日本の特徴だ。ブラウザシェアの推移を見る限り、おそらくはChromeやFirefoxから、より快適で不満の少ないChromium Edgeに乗り換えたユーザーが多いのではないかと推測する。
それでは世界全体で見るとどうなるかというと、Chromeのシェアが圧倒的で、それにモバイルブラウザでも強いSafariが続く。画面上の上位ランキングには出ていないが、IEのシェアは0.75%で完全にランク外だ。Edgeの利用率もそれほど高くなく、Microsoftのデフォルトブラウザを利用するユーザーはそれほど多くないことがうかがえる。
もう少し正確な数字を出すために、今度は「デスクトップWebブラウザ」のシェアに限定してみる。なぜ最初からデスクトップWebブラウザで比較しなかったかといえば、StatCounterの仕様で韓国限定のシェアが表示されなかったからだ(より正確には、画面上にシェアのランキングが表示されない)。そのため、ここでは世界と日本の比較のみを行う。
サイトに埋め込んだツールでアクセスしてくるブラウザを計測するというStatCounterの仕様上、前出のIE modeのようなイントラネット前提のブラウザアクセスはないので、実質的にインターネット上にあるコンテンツのアクセスに普段利用しているブラウザの数字が集計結果には表れてくる。
デスクトップWebブラウザに限定した世界のブラウザシェアにおいて、それでもIEは1.68%のシェアがあるのだが、逆にいえばそれだけの数字でしかない。今後1年間でどれだけ数字が減少するかは分からないが、おそらく1%前後のユーザーをどう扱うかがIE11のサポート終了判断の分岐点だったのだと思う。
さて、本題の日本におけるデスクトップWebブラウザのシェアだが、なんと6.36%もある。世界平均と比べて4倍だ。前述の通りEdgeのシェアが高めなのも日本の特徴で、代わりにFirefoxやOperaのシェアが低めに出ている。ランキングこそ掲載していないものの、韓国も同様にIEのデスクトップWebブラウザシェアが高く、先ほどの「日本と韓国だけIEユーザーが極端に多いの?」という推測はデータ上にも表れていることが確認できる。
IE11のサポート終了まであと1年。このIEユーザーの多さを日本は解消できるのだろうか。
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