プラネックスの実売1万円切り2.5GbEハブ「FX2G-05EM」で一足先に1Gオーバーの世界へ――NASを使ってテスト(1/4 ページ)

» 2021年08月24日 13時00分 公開
[瓜生聖ITmedia]
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 現在、家庭やオフィスの有線LANで最も利用されている規格は1000BASE-Tだろう。Cat5以上のUTPケーブルを使用する1000BASE-Tの通信速度は、全二重1Gbpsだ。無線と異なり、有線LANではほぼ規格通りの速度を実現できる。

 有線LANは、規格が変わるたびに10倍ずつ高速化してきた。10BASE5/10BASE-Tの10Mbps、100BASE-TXの100Mbps、そして1000BASE-Tの1Gbpsという形だ。当然、次の規格は10GBASE-Tの10Gbpsだが、1000BASE-Tで広く使用されているCAT5eケーブルでは、長距離間の10Gbpsを達成することができず、Cat6Aケーブルを使用しなくてはならない(短距離であればCat6も使用可)。

 これは100Mbpsから1Gbpsの移行に比べ、かなり大きなインパクトがある。100BASE-TXはCat5でも利用可能だが、その規格とともにより高品質なCat5eが普及した。そのため、1000BASE-Tに移行した際には既にCat5eが敷設されているケースが多く、事実上ケーブルを交換する必要がなかった。

 ところが、1000BASE-T時代にCat6Aの普及は進まなかった。Cat5eに比べると太く、硬いケーブルが多かったCat6Aは、数字部分が変わることもあってオーバースペックな印象も強かった。結果、今日では10GBASE-Tに対応していないCat5eを敷設している家庭やオフィスが多く残ってしまっている。

FX2G-05EM 築15年のマンションに設置されているマルチメディアコンセント。壁内配線がCat5eなので、10GbEのためには再配線が必要になる

 このことは業界団体から見ても由々しき事態だったのだろう。Cat5eを使いつつ、10GBASE-Tの周波数レートを4分の1に下げることでCat5eケーブルでも2.5Gbpsを実現する中間的な規格、2.5GBASE-Tが標準化された。同時に周波数レート2分の1でCat6ケーブルを使用する5GBASE-T(5Gbps)も同様に標準化されている。

 ケーブルの問題が解決したら、次に必要となるのが2.5GBASE-T対応のスイッチングハブだ。これまでは1万5000円〜2万円近かった同クラスの製品だったが、ここにきて一気に1万円切りというリーズナブルな価格の製品が登場した。

FX2G-05EM 実売1万切りの2.5GbE対応5ポートスイッチングハブ「FX2G-05EM」。ボディーサイズは約160(幅)×110(奥行き)×26(厚さ)mmで、重量は約463gとなる。ついに国内メーカーからも、実売1万円を切る2.5GbE対応ハブが登場した

安い理由が見当たらない!? 高品質な「FX2G-05EM」

 プラネックスのFX2G-05EMは、オープン価格ながら複数のショップで税込みの実売価格が9900円前後で販売されているスイッチングハブだ。5ポート全てが2.5GBASE-Tに対応しており、かつ、スイッチングファブリックも25Gbpsで全ポート上下同時に2.5Gbpsを実現できる。

 また、高速通信には欠かせないジャンボフレームも12KBにまで対応しており、クライアント側を設定するだけで利用可能だ。ループ防止機能もついているので、アンマネージドスイッチとしてはほぼ全部盛りと言ってよいだろう。

 この性能を達成するためには、当然、高い処理能力が求められる。乱暴な比較ではあるが速度はそのままでポート数が2.5倍、つまり1Gbps×12.5ポートのスイッチングハブをイメージしてみるとよい。全ポートフルスピードを出すために必要なスイッチングファブリックは同じ25Gbpsだが、とてもローコストな家庭向けとは言えないことが分かるだろう。

 そのような処理能力を実現するためには強力なコントローラーが必要だが、パフォーマンスが上がれば発熱も増える。そこでFX2G-05EMではヒートシンクだけでなく、チップから基盤に伝わった熱を下面の放熱用シリコンパッドから熱拡散放熱用アルミブレートへ、さらに難燃性ポリカーボネートシートを介してボディー下部から放熱する。

 つまり、従来のメタルボディー上部からの放熱に加え、下部からも放熱する仕組みだ。FX2G-05EMのゴム足は下面の隙間を確保するため、通常よりも高さのあるものを採用している。

 また、同社の1Gbps対応8ポートスイッチングハブ「FXG-08IM5」が192KBのパケットバッファーを搭載しているのに対し、FX2G-05EMは実に8倍の容量増となる1.5MBだ。速度混在が予想される利用環境では大きな効果が期待できる。

FX2G-05EM FX2G-05EMの内部構造

 このように見ていくと、どうしてFX2G-05EMが1万円切りという低価格を実現できたのか、そのコストダウンのポイントが容易に見当たらないことに驚かされる。国内メーカーによる妥協のない製品でありながらなぜか安い、そんな印象の製品だ。

FX2G-05EM 全ポートで2.5GbEをサポートする。インジケーターは緑が2.5GbE、それ以外は橙色だ。ループ検出時にはLOOPが赤く点灯し、同時にループが発生しているポートのインジケーターが緑/橙で交互に点滅して通信を遮断する

 続いて、2.5GbE化に向けて各種環境の移行を考えよう。

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