プラネックスの実売1万円切り2.5GbEハブ「FX2G-05EM」で一足先に1Gオーバーの世界へ――NASを使ってテスト(2/4 ページ)

» 2021年08月24日 13時00分 公開
[瓜生聖ITmedia]
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2.5GBASE-Tをどう活用するか デバイスごとの考察

 当然ながら、スイッチングハブだけが2.5GbEに対応していても、その他の機器が2.5GbEに対応していなければ、その高速化の恩恵を受けることはできない。だが、既存の1GbE環境を一気に2.5GbE環境に刷新するのはハードルが高い。ここでは部分的/段階的な2.5GbEの導入について考えてみたい。

 まずは、既に2.5GbEに対応している機器からFX2G-05EMに接続していくことになるだろう。以下はその一例だ。

マザーボード

 自作PCのベースとなるのがマザーボードだ。元々ゲーミングPC用やハイエンド用から導入が始まった2.5GBASE-Tも、現行のマザーボードではミドルレンジクラスでも対応した製品が多くなってきている。Windows11対応のために買い換えを検討しているのであれば、2.5GbE対応マザーボードを選択するのがよいだろう。

USB Type-C有線LANアダプター

 有線LANに比べると、短距離通信であるUSBも高速化が目覚ましい。USB 3.0(USB 3.1 Gen1/USB 3.2 Gen1)でも既に5Gbpsに達しており、USB接続の有線LANアダプターにも2.5GBASE-T対応製品が数多く用意されている。

 プラネックスからもUSB Type-C用の「USBC-LAN2500R」(実売6000円前後)、USB Type-A(USB 3.0/USB 3.1 Gen1/USB 3.2 Gen2)用の「USB-LAN2500R」(実売4000円前後)が販売されており、比較的安価に2.5GbE環境を追加することができる。

FX2G-05EM プラネックスの「USBC-LAN2500R」は、USB Type-C端子に接続する2.5GBASE-T対応LANアダプターだ

ネットワーク拡張ボード

 使用しているPCがデスクトップ型なら、PCI Expressのネットワーク拡張ボードも利用できる可能性がある。10GbE対応ネットワークカードが実売でも8000円以上でPCIe x4を必要とするのに対し、2.5GbE対応ネットワークカードは実売3000円台でPCIe x1と、導入しやすくなっている。

FX2G-05EM プラネックスの「GPE-2500T」はPCIe x1接続のカードで、実売3000円台と導入しやすい

スイッチングハブ

 1GbEのスイッチングハブをカスケード接続している場合は、上流側のスイッチングハブを2.5GbEに変更することも効果がある。クライアントが1GbEでも、それらの通信を集約する幹線部分が2.5GbEになれば混雑の緩和につながる。

メッシュルーター

 IEEE 802.11ac Wave 1で1Gオーバー(最大1.3Gbps)を果たした無線LANは、IEEE 802.11ac Wave 2で最大6.93Gbps、Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)で最大9.6Gbpsと、有線LANに先駆けて1Gオーバーの普及期に入っている。

 もっとも、無線LANの場合は環境による影響を受けやすく、有線LANと比べて理論値と実際の値の乖離(かいり)が大きい。また、各規格の最大値は複数のアンテナを利用した際に達成されるものであり、搭載アンテナ数が制限されるクライアントとの通信速度は理論値でも数分の1にとどまってしまう。

 だが、スマートフォンやノートPC、ゲーム機など有線よりも無線接続のデバイスの方が多い今日では、無線LANルーターやアクセスポイントの有線側を高速化することでボトルネックが解消する可能性もある。特にメッシュルーターの場合はその傾向が顕著だ。

 メッシュルーターは複数台で利用するルーターであり、ルーター間で通信を行って1つの網目状のネットワークを構成する。そのネットワークを構成するどのルーターに接続しても同じように通信ができ、デバイスが移動すれば自動的に接続先ルーターを切り替えることができる。

 そのため、メッシュルーターではルーターとデバイス間の通信だけでなく、ルーターとルーターの通信(バックホール)が発生し、通常よりもネットワークを流れる通信量は増えてしまう。バックホールを無線LANで行うこともできるが、それによるトラフィックの集中を避けるため、デュアルバンド(2.4GHz帯+5GHz帯)、トライバンド(2.4GHz帯+5GHz帯×2)をサポートしてバックホール専用帯域を確保する必要がある。

DECO X90 2.5GbE対応の有線LANポートを備えたティーピーリンクジャパンのメッシュルーター「Deco X90」

 さらにその根本的な解決となるのがイーサネットバックホール、有線でのルーター間通信だ。バックホールの高速化、安定化は全ての無線LANデバイスのネットワーク品質向上につながる。Wi-Fi 6に対応したメッシュルーターも、有線LANに2.5GBASE-Tをサポートしている製品が出てきているのも自然な流れだと言えるだろう。

 次に、NASを2.5GbE化することでどれだけ速度が改善されるのかを見ていこう。

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