AppleがiOSアプリ外での決済方法を提供 App Store小規模開発者と7つの方針で合意(2/2 ページ)

» 2021年08月27日 15時45分 公開
[林信行ITmedia]
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App Storeは最も安全で信頼できるアプリケーション入手の場

 「App Storeは当初から経済的な奇跡であり、ユーザーにとっては最も安全で信頼できるアプリケーション入手の場であり、デベロッパーにとっては革新、繁栄、成長のための素晴らしいビジネスチャンスとなっている」

 App Storeを統括するAppleフェロー、フィル・シラーのこの言葉の通り、iPhoneを始めとするApple製品のアプリ市場、App Storeは2008年にスタートして以来、世界中に多くのアプリ長者を輩出し、今では巨大企業となったアプリ開発者をいくつも生み出してきた。

 現在、App Storeを利用するiOSデバイスの利用者は世界に15億人以上おり、227カ国の3000万の開発者が登録している。登録アプリ数は180万本で、これまで累積で1550億ドル(2020年9月時点での統計)が開発者たちに支払われてきている。

 しかし昨今、売り上げの3割をApp Storeが徴収することに対して一部の開発者から批判が出てきている。Appleは、この3割をこの世界最大規模のアプリ市場を安全に運営していくために必要な費用としている。

 実際、2008年のサービス開始当初からは、3割のアプリ税はゲームパッケージ作りでゲームメーカーに徴収される率と比べればわずかと、ゲーム開発者の間などでは好評だった。

 今回の和解はどの程度の開発者に影響を与えるのだろう。

 米国のApp Storeで提供されているアプリの85%は無料アプリで関係ない。15%の有料アプリの開発者は2種類に分類される。1つは今回のキャメロン氏らのような年間売り上げが100万ドル以下の小規模開発者だ。実はこれが15%の開発者の99%を占める。

 一方、2020年8月に人気ゲーム「Fortnite」を提供するEpic Gamesが同様に30%の手数料に異議を唱える訴訟を起こしたが、Epicのような年間売り上げが100万ドルを超える大規模開発者は15%中のさらに1%(全体の0.15%)となる。

 Epicとの裁判は2021年5月に最終弁論が終わっており、Appleによる電子メールの利用を禁じる規則や手数料の率などについて疑問を提示しながらも、Epicの要求は「収益を生み出すAppleの基本的な方法を攻撃している」とも語っている。判決は遠からず出るはずだが、実は今回のキャメロン氏との裁判とEpicとの裁判は同じゴンザレス・ロジャーズ(Gonzalez Rogers)判事が担当している。

 なお、今回の7番目の合意事項は米国の開発者のみに適用される。集団訴訟のメンバーは、250ドルから3万ドルの範囲で支払いを請求し、支払いは開発者の規模に応じて行われる予定だが、支援基金の対象となる小規模開発者の半数以上は、5年間のアプリ開発で得た収益以上の金額を支援基金から受け取ることができる。

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