VAIOが10月6日に発売した15.6型ノートPC「VAIO FL15」は、同社が発足してから初めてとなるAMDプロセッサを採用したことや、最小構成時の税込み販売価格が同社製ノートPCとしては手頃な7万9200円であることが特徴だ。
このVAIO FL15は、主にビジネスユーザーをターゲットに据えてきた同社が「個人向けPCを再強化する」ために投入する戦略的なモデルでもある。その“実力”はいかほどのものか、ベンチマークテストを通してチェックしていこう。
今回レビューするVAIO FLの主なスペックは以下の通りである。同一構成のVAIOストア(Web直販)価格は10万210円だ。
発売時の記事にもある通り、VAIO FL15のハードウェアは固定構成となる。担当者によると、「自宅においてビジネスとプライベートの両方で十分なスペックと価格のバランスを検討した結果、このような構成になった」という。
これが本当なのかどうか、この後のベンチマークテストで検証していく。
まず「CINEBENCH R23」でRyzen 3 4300UのCPUパフォーマンスをチェックしてみよう。結果は以下の通りだ。
Ryzen 3 4300UのCPU部分は、4コア4スレッドでマルチスレッド処理に対応していない。それでも、CINEBENCH R23上のスコアを見る限り、1コア当たりの性能は2017年のデスクトップ向けハイエンドCPU「Ryzen 7 1700X」(3.4GHz〜3.8GHz、8コア16スレッド)を上回る。シングルコアの性能が重要なアプリは快適に利用できる水準だ。モバイル向けのAPUでこれだけのパフォーマンスを発揮できるようになったことは、素直に褒めるべき点だろう。
マルチコアのスコアは、シングルスレッドであることも響いてか4000ポイントに届いていない。ただし、これだけのスコアが出れば、動画再生を含む「普段使い」において困ることはほとんどない。
「CPUだけパフォーマンスをみても仕方ないでしょ?」という声もあると思うので、PCの利用シーンを想定した総合ベンチマークテスト「PCMark 10」も実行してみた。結果は以下の通りだ。
総合スコアは4000ポイントを少し上回る程度となった。ハイエンドのCPUやGPUを搭載するモデルと比べるとどうしても低いが、日常利用の性能を確認する「Essentials」のスコアは8000ポイントを超えており、WebブラウジングやWeb会議は問題なくこなせるスペックを有していることが分かる。統合しているGPUの性能も手伝ってか、画像や動画の編集能力をテストする「Digital Content Creation」も、このクラスのCPU(APU)としては決して悪くないスコアとなっている。
一方で、オフィスアプリのパフォーマンスをみる「Productivity」は5267ポイントと、ここ数カ月の間にITmedia PC USERでレビューしてきたPCの中では低めである。これは、CPUで処理できるスレッド数がモノをいう表計算テストの結果が足を引っ張っているからだ。
とはいえ、表計算アプリにおいてスレッド数の差を体感できるほどのシートを使う機会は、一部業種を除いてそれほど多くはない。普段使いという面では問題にならないだろう。
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