ではそろそろ、まとめていきましょう。
気に入った点:
難点になり得る点:
Cintiq Pro 16 (2021)は、基礎スペックは同じながらも旧型にあった問題と真面目に向き合い、実用性、快適性の面で大きく進化した機種です。接続は確実で容易になり、発熱とファンノイズの問題もおおむね解決しました。また、VESAマウントの搭載で、しっかりしたスタンドを装着したり、ユーザーが自分で設置を工夫したりする余地も広がりました。
新規導入として検討する際の懸念点が減っただけではなく、旧型の更新として導入しても大きな障害なく置き換えられ、多くの面で旧型より快適に使うことができるでしょう。
一方で、接続仕様の先進性という面では大きく後退しており、接続したケーブルが美観を損ねるようになりました。マルチディスプレイの配置によっては、ケーブルとサブ画面が干渉する恐れがあります。
運びやすい中型機として二拠点制作などの用途で期待していた人も、薄型のモバイルスタンド非対応になり、本体が若干厚く重く(厚さは約22mm、重量は約1.9kg)、ACアダプターも大きくなって替えも効かなくなったので、モビリティーが旧型より悪化していることに注意が必要です。
依然として、高価なことも検討の障害になり得るでしょう。旧型の改良が主で、基礎的な商品力が上がるわけでもなく4年半を過ごした製品です。価格は税込みで18万4800円(原稿執筆時点のワコムストア価格)で、税抜きで比べると旧型の発売当時と同じです。
旧型の仕様と比較しても、発売時の社会の技術水準と比べても、2021年モデルはプレミアム性も先進性も、多くの点で低下しています。
このように、実用的かつリーズナブルな自社の下位機や、実用性を増しつつ4Kに進出しつつある他社の機種の群れに、どちらかというと近寄っている更新に見える点が気がかりです。ですが、依然として16型の王者であることは間違いありません。中型液タブで妥協なく制作したい人には、予算が許せば筆頭の選択肢になるでしょう。
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