Microsoftは11月16日(米国太平洋時間)、Windows Blogのエントリー「Introducing x64 emulation in preview for Windows 10 on ARM PCs to the Windows Insider Program」を更新した。付け加えられた文章を読む限り、ArmアーキテクチャCPU用のWindows 10(Arm版Windows 10)ではx64アプリ(x86アーキテクチャCPU向けの64bitアプリ)の実行環境の搭載が見送られる可能性がある。
Arm版Windows 10では、Armネイティブの64bitアプリ(Arm64アプリ)と、x86アーキテクチャ向けの32bitアプリ(x86アプリ)の実行をサポートしている。x86アプリはエミュレーションを介して実行されるが、極度なハードウェア依存がなければおおむね問題なく稼働する。
一方で、x86アーキテクチャでは同アーキテクチャ向けの64bitアプリ(x64アプリ)が増加傾向にある。特に広大なメモリ空間を利用するアプリでは64bit化が顕著に進んでおり、最新バージョンはx64アプリのみ用意される(x86アプリがない)ケースも珍しくない。Microsoft 365(Office 365)や「Microsoft Office 2021」にはx86アプリとx64アプリの両方が用意されているが、新規導入時には原則としてx64アプリが優先してインストールされるようになった。
一部のアプリではArm64への対応を進めているものの、その動きは若干鈍い。そのこともあり、一部のユーザーから「Arm版Windowsでもx64アプリを利用したい」という要望が寄せられてきた。
そういうこともあり、Microsoftは「Windows Insider Preview」を通してArm版Windows 10におけるx64アプリの実行環境(エミュレーター)のテストを実施してきた。
冒頭で紹介したWindows Blogのエントリーは、Arm版Windows 10におけるx64アプリのエミュレーション機能を紹介するものである。その冒頭に加えられた文章は以下の通り。
x64 emulation for Windows is now generally available in Windows 11. For those interested in experiencing this, a PC running Windows 11 on Arm is required.
(日本語訳)
Windowsにおけるx64エミュレーションは今、Windows 11で原則として有効になりました。これを使うことに興味のある人は、Arm版Windows 11で稼働するPCが必要です。
直接的ではないが、Arm版Windows 10ではx64アプリの実行環境を搭載しないと言いたいようである。ArmアーキテクチャのWindows PCを使っているユーザーで、x64アプリを使いたい人は素直にWindows 11へのアップグレードを検討した方がいいのかもしれない。
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