ソフトバンクグループ(SBG)は2月8日、同社の完全子会社である英Arm Limited(Arm)の株式を米NVIDIAへ売却する契約を解消したことを発表した。合わせてSBGは、Armの株式を2023年度中(2023年4月から2024年3月まで)に上場する準備を開始する方針を明らかにした。
【更新:2月9日11時20分】決算説明会の動画を差し替えました
SBGは2016年7月、英ARM(現在のArm)を約3.3兆円で買収する方針を発表し、同年9月に完了した。
その後、SBGは2018年にArmの再上場を検討している旨を明らかにしたが、最終的に2020年9月にNVIDIAに株式を売却することを発表した。
Arm株式の売却は、規制当局の承認など必要な手続きを全て満たすことを条件に18カ月後(2022年3月)をめどに実行される予定だった。ところが、「これを阻む規制上の大きな課題」(SBG)が生じたため、NVIDIAとSBGは売却を中止することに合意した。SBGの孫正義社長が2021年度第3四半期決算説明会で行った説明を聞く限り、一部の国において規制当局の承認を得られる見通しが立たないことが売却を断念する理由であるようだ。
Armの売却に先立って、SBGはNVIDIAから約12億5000万ドル(約1443億5000万円)の前払い金を受け取っている。SBGとNVIDIAとの契約の条項に基づいて、この前払い金の返却は行われない。よって、SBGは2021年度第4四半期(2022年1〜3月)において前払い金を利益として認識(計上)することになる。
一方で、NVIDIAは今後20年間、Armから付与された知的財産権に関するライセンスを保持する。
本件を受けて、Armは株式を再上場する準備を開始する。先述の通り、再上場は2023年度中に実施される予定だ。
SBGは2018年時点で「Armを5年後(2022年度中)に再上場させる」という計画を持っていた。Armの売却が中止されたことに伴って、その計画が“復活”したことになる。
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