ソフトバンクグループは7月28日、2017年3月期(2016年度)の第1四半期決算を公表した。同日に行われた決算説明会で、孫正義社長は「Sprint事業」と「ARM買収」の説明に大きな時間を割いた。
ソフトバンクグループ(当時は「ソフトバンク」)は2012年10月に米Sprintの買収を表明し、翌年7月に子会社化した(参考記事)。それ以来、米Sprintはソフトバンクグループの連結業績の「マイナス要因」であり続けてきた。
しかし、2014年度からポストペイド(後払い)携帯電話の契約数が純増に転じ、2016年度第1四半期にはMNP純増も達成した。これは第1四半期同士の比較では過去5年間で初めてだという。解約率も改善し、この四半期ではSprintとして過去最低の1.39%となった。「『つながらない』ということで解約率が高かったが、ネットワークを改善し、総合的なサービスも改善した」(孫社長)結果が数値になって表れた格好だ。
また、ポストペイド携帯電話ユーザーのABPU(1ユーザー当たりの平均請求額)も順調に伸び、売上高も安定化の兆しが見えた。コスト削減も順調に進んでいるという。
結果として、Sprintは「今までのように(ソフトバンクグループの)足を引っ張る存在ではなくて、我々の利益に貢献できる側の存在」(孫社長)となるめどが付いたという。孫社長は、Sprintを将棋の「歩兵」のコマに例えて、敵陣の三段目に入って「と金」になったと説明した。
企業が自由に使える余剰資金(フリーキャッシュフロー)面では、早ければ2016年中にも通年の余剰資金をプラス(黒字)か、限りなくプラスマイナスゼロにできる見通しだという。
Sprint事業が好転したこと、ソフトバンク(旧・ソフトバンクモバイル)が手がける国内通信事業に関連する設備投資が一巡したことが、ARMの買収を後押しする大きな要因となったようだ。
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