ソフトバンクグループは7月18日(GMT)、半導体設計大手の英ARMを約3.3兆円(約240億ポンド、約310億米ドル)で買収すると発表した。3カ月以内の完全会社化を見込んでおり、ARMは上場廃止となる。
ARMは低消費電力プロセッサ「ARMアーキテクチャ」の開発元で、自らはチップを製造せず、ラインセンスを他社に販売している。ARMアーキテクチャはAndroidスマートフォンで多く使われているQualcommの「SnapDragon」や、AppleのiPhoneが搭載する「Ax」などのベースとなっており、スマートフォンや携帯電話の市場ではほぼ独占状態。2015年には約150億個のARMベースチップが出荷されたという。
ソフトバンクグループの孫正義社長は、「PCはIntel製CPUがほとんどだが、それ以外はほとんどがARM。スマートフォンでは約95%がARMベースで、スマホ市場で最大の成功者」と述べ、ARM買収は「IoT(モノのインターネット)がもたらす非常に重要なチャンスをつかむことにあり、当社グループの戦略において重要な役割を果たす」と説明した。スマホの出荷台数は減っているが、搭載されるチップの数は増えていくこと、またコネクテッドカーやコネクテッドハウスなど、モバイル以外のIoT分野でも大きく成長できることから買収に踏み切ったという。
ソフトバンクの買収後も、ARMは引き続き独立した企業として英国・ケンブリッジを拠点とする。また今後は5年かけてARMの従業員数を倍に増やす計画で、「戦略を加速し、上場企業として考えられる以上の潜在力を引き出す」(孫社長)と研究開発への積極的な投資も約束した。
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